出版社内容情報
1988年7月23日、横須賀港沖で潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」が衝突、乗客30名死亡。海の法廷で次々と明らかになる自衛隊側の証拠改ざんと偽証を徹底取材した本書は、大惨事の疑惑と真相を暴き、奢れる海の王者を追及する迫真のルポ。
内容説明
1988年7月23日「15時38分漁船ト衝突、40分沈没…」海上自衛隊発足以来の大惨事。海中に沈む犠牲者の捜索の最中、潜水艦内では何が行われていたか。証拠湮滅・改ざん、偽証が明らかなる中、海の最高裁―海難審判庁はいかなる裁決を下したか。
目次
第1部 惨事(衝突;捜索)
第2部 対決(開廷;艦長の反論;船長の誤算;組織の責任)
第3部 疑惑(疑惑証言;第一富士丸右転説;勧告)
第4部 改ざん(航泊日誌の改ざん;運転記録の紛失;救助活動をめぐる論争)
第5部 深層海流(命令伝達の遅れ;裁かれた海の最高裁;最大戦速の試験計画)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
detu
33
司法法廷物は興味のあるジャンルではある。とにかく分厚い本。延々と続く「初認」から「衝突」までのたった数分間の事実関係の有った無かったの水掛け論の終始である。読んでいて腹立たしくなるばかり。海自潜水艦「なだしお」の艦長と乗組員のコロコロ変わる「記憶にない、忘れた」という供述には呆れるばかり。あげくは航伯日誌、海図、通信記録の改竄も「清書」だと言い張る。海難事故の真相究明は難しい、殆ど密室であるし痕跡も残らない。そこを巧みについての責任逃れは赦されない。海上航法の適用、秘密組織自衛隊、海難審判、新知識を得る。2016/12/20