出版社内容情報
ケニアの民族解放独立闘争を担ったマウマウ団に関する記録文書を英国政府は未だに公開していない。本書は地道なフィールドワークと最高指導者デダン・キマジの手記・証言をもとにマウマウ反乱の真相をはじめて明らかにし正当な評価を与えた記録集成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
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1950年代、当時イギリス植民地のケニアで、独立武装闘争を行った「ケニア土地自由軍(イギリスからはマウマウ団と呼ばれた)」の組織内の文書、書簡などで構成された記録。組織内の戦略要綱、闘争の報告書、対外的な外交文書、対英抗議文など、色々な内容。後半、独立後の1978年に行われたにマウマウ戦争関係者へのインタビューが載っているが、これを読むとケニア人内部でも親英と反英で分かれ、マウマウ内部でも独立後は格差が発生し、その遺恨が残っていた事が伺える。この本には、マウマウ戦争の経緯は余り載っていないので注意。 2020/01/21
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ケニアの過激派社会運動組織「ケニア土地自由軍(イギリスでの名称が「マウワウ団」)が、1950年代に宗主国であるイギリスと国内親英派に向けて行ったゲリラ活動を纏めたもの。マウマウ団は全てのゲリラ活動を記録することで闘争の歴史の記録を自ら作り出し、イギリスを中心とした欧米に都合の良い歴史観から抜け出すことで、ナショナリズムを掲揚し独立の足がかりとした。ゲリラ自体は細かい草の根活動が多く感じたが、そうした組織的な活動方針だからこそ、物資不足ながらもイギリスと同等に渡り合い、その後のケニア独立に繋がったのだろう。2011/01/17