出版社内容情報
都市論が盛んだが、本書は日本初の本格的なイスラーム都市論。欧米の偏見によらず中東の都市を見れば、プライバシー保護、公共福祉、公害除去など一千年前からイスラームにより配慮した街作りがなされてきた。写真、地図、図版数十点でカスバのラビリンスを読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
oDaDa
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イスラームの都市を鳥瞰してみると、一見無秩序に広がっているかのように見えるが、実はクルアーンやハーディス、スンナに基づいたシャリーア(イスラーム法)によって、秩序を維持するための事細かな規定がなされた都市である。その規定はイスラーム世界のそれぞれの地方によって異なるが、例えば、大通りの幅は荷物満載の駱駝2頭が通れる幅であること、窓は人間の等身よりも高い位置に作ることなどがある。この本においてはイスラーム創成期の純粋な様式が今も比較的現存しているという点で、とりわけチュニスの都市構造が詳細に考察されている。2013/10/24