出版社内容情報
86年度ノーベル文学賞を最後まで争ったケニアのグギが描くアフリカ文学の惨憺たる現状。アフリカ人がアフリカ人の言語で文学を綴ることを阻む厚い「言語帝国主義」の壁の批判と克服の道を説く。「アフリカ文学の言語」「アフリカ演劇の言語」「アフリカ小説の言語」ほか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ckagami
1
新版が出ているようだが旧版のほうを読んだ。ケニアの作家が、旧宗主国の強いた言語である英語ではなく、自分の民族のことば・ギクユ語で書くことについてのプロパガンダ的な評論。「新植民地主義」という、アフリカ人がみずから進んで西洋に迎合する風潮(を西洋がつくり、巧妙にそう仕向けているのだが)に対し、農民や貧困層に語りかけられることばである民族語で文学を創造する重要性を説く。西洋文化の巧妙な浸透をアフリカのひとびとがどう受け止めているのか、作家は語りかけたい人にどのような形式で(口承文芸的方法を著者は提案している→2021/02/26