内容説明
太平洋戦争末期の昭和二十年三月から六月にかけて、沖縄で繰り広げられた地上戦。沖縄師範学校女子部と沖縄第一高等女学校の生徒たち二百二十二人で構成された「ひめゆり学徒隊」は、負傷兵の看護要員として最前線に動員された。その一人である著者は、多くの仲間の死に直面する中で、自らも死を覚悟する。戦火をくぐり抜け奇跡的に生き残った著者が、時代を超えて語り伝える祈りといのちのメッセージ。
目次
第1章 忍び寄る戦火
第2章 南風原陸軍病院
第3章 仲間の悲劇
第4章 父との再会
第5章 南部への撤退
第6章 解散命令
第7章 自決か捕虜か
第8章 朝日を浴びて
第9章 収容所生活
第10章 鎮魂
著者等紹介
与那覇百子[ヨナハモモコ]
1928年(昭和3年)3月、沖縄県首里市(現・那覇市)生まれ。沖縄師範学校女子部予科在学中の1945年3月26日、ひめゆり学徒隊の一員として南風原陸軍病院に動員。最前線で負傷兵の看護に従事するも、米軍の捕虜となる。2005年(平成18年)から2008年にかけて、ひめゆり平和祈念資料館で沖縄戦の“語り部”を務める。その後も自治体や学校などの要請を受け、全国各地で自らの戦争体験を語り続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エル
3
以前この方を題材にした児童書を読んだが、やはり児童書とは違い、いかに戦争が生々しいか教えてくれる。まさに紙一重で助かった命、死ぬことが美徳とされていた時代に生きたいと願うことがこれほど悲しいとは。生き物なんだから生きたいと思うのは当たり前なのに、それが出来ない教育、戦争は二度と起きてはいけないと思う。2025/02/18
佐保(さほ)
2
ブクログさん登録。壮絶で克明な歩みを描いている。捕虜になってでも生きていることは、恥ずかしいことと教えられていた。それでもつい口を衝いて出た「生かされているんだね……」。天理教の言葉だが、純粋に人間として次々と無信者のみなも賛同したという件(くだり)。生きたいね。そうどんな時でも人は生きたいのだ。いつでも忘れてはならない大切なことだと思う。2011/09/07
春風ヒロ
1
友達がすぐ目の前で「親孝行したかった」と言いながら死んでいったり、「私も一緒に連れて行って」と泣いて懇願する負傷した友達をそのまま置いて逃げたり……。悲惨な話がたくさんあるが、それ以上に希望もある。著者も含め、「死にたい」といい続けていた仲間たちが太陽の光を浴びて「生かされている」「生きていたい」と心が切り替わり、生き残った自分たちにできることを探そうと一歩を踏み出す、ここにこの本の全てが集約されていると思った。2011/08/15
カナサク
0
ひめゆり学徒隊について知るべき2024/02/28