内容説明
昭和を代表する文豪・松本清張の代表作を地図とともに解説(『ゼロの焦点』『砂の器』『点と線』など全11作)。多くの作品の舞台となっている昭和30年代当時の地図を復刻収録。清張と鉄道、映画ロケ地探訪など特集も充実。
目次
作品別特集(ゼロの焦点;砂の器;点と線;火と汐;時間の習俗;或る「小倉日記」伝;波の塔;球形の荒野;Dの複合;眼の壁;天城越え)
資料編(復刻昭和32年『中学校社会科地図帳』;清張映画・ロケ地探訪;松本清張年表)
著者等紹介
北川清[キタガワキヨシ]
滋賀県に生まれる。学習塾経営・河合塾講師(古文)を経て、フリーライター。ミステリー関係のほか古典文学など幅広く手がける
徳山加陽[トクヤマカヤ]
愛知県に生まれる。2008年より井上靖文学館に勤務。学芸員として展示の企画のほか、「井上靖 中国行軍日記」などを編集発行。湯ケ島の文学作品の掘り起こしをライフワークとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
119
最近帝国書院は地図帳だけでは先行きがあまり、ということで結構楽しめる本を出してくれています。この本もそうで松本清張の作品とむかしの地図帳などを駆使して楽しめる内容となっています。私はとくに「砂の器」を何度も読んだり映画やドラマを見たりで東北地方と出雲の近くの地名を今でも覚えています。地図でこのような作品を見ていくのも楽しいですね。内田康夫や西村京太郎もやってくれるといいのですが。2021/04/09
まーくん
104
松本清張の世界は昭和の時代を写す。昭和30年代を中心に占領期から経済大国に成り上がるまで。敗戦の廃墟から立ち上がり、しゃにむに働き高度成長期を駆け抜けた日本社会の光と影を描く。清張の作品の特徴として舞台は全国に及び、当時の地方の様子や交通事情が浮かび上がる。本書には学校地理で使われた昭和30年代の地図が復刻収録されている。いわゆる地図帳の地図を見ると、中学時代に授業もロクに聞かず、地図帳を眺め、未だ見ぬ地の山河や街並みを夢想していたことを思い出す。『ゼロの焦点』『砂の器』『点と線』など11編を掲載解説。2020/12/30
keroppi
81
松本清張の代表作を地図から見つめる。昔かなり読んでいたが、懐かしい。全国の色々な場所が出てきて、まだ行ったことのない場所に想いを馳せたものだ。旅情とサスペンスと社会的視点に興奮したことを思い出し、もう一度読んでみたくなる。頭に残っているイメージは、映画によるところも多いのに気づく。昭和32年中学社会科地図復刻版に小説に登場した場所が記されているのもうれしい。2021/01/25
涼
67
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2021/02/post-1b0f29.html 関西地方が意外と少ないような気がします。2021/02/27
パトラッシュ
58
私の清張体験は映画版『砂の器』が最初。原作を読み、事件現場を地図で辿り、映画に出た風景はこの土地なのかと思いを馳せた。その後も作品を読んだり映画やドラマを見る度に、しばしば地図で舞台を探した(実際に訪れたことはあまりないが)。本書が刊行されたのは、同様に地図を片手に清張を読んだ人が多かったためではないか。トラベルミステリーという言葉はなかった時代だが、旅愁と推理小説を結びつけ広く読まれるようにした功績は再確認されるべきだ。全国を舞台に作品を書いた清張だが、父の出身地鳥取を一度も取り上げていないのはなぜか。2021/01/30