出版社内容情報
貴族の館に泊まってハーブの育て方を習ったり、美しい森の中でアナグマ観察会からブリティッシュ・ガーデンまで、「緑の巻」「青の巻」合わせて16のグリーンホリデーを紹介する。
実際にグリーンホリデーに参加したい人のための「旅の情報ノート」付。
【書評再録】
●AERA評(1996年7月29日号)=自然派ツーリストにうってつけの英国ガイド。
●朝日新聞「ひと」欄(1996年8月18日)=コンブが生い茂る海をアザラシと一緒に泳ぎ、零下の森でアナグマと一夜を明かす。英国でのこんな動物との触れ合いが紹介されている。
●毎日新聞評(1996年7月10日)=ガイドブックに載らないイギリスの自然美や旅行術を詳細に著した。
●読売新聞評(1996年7月30日)=英国の自然の懐の深さ、自然と歴史が満喫できる。旅の情報ノート付き。
●信濃毎日新聞評(1996年8月11日)=ワイルドな世界が広がる。文章もみずみずしく、さわやかだ。
●トラベル・フロンティア「地球の歩き方」(2001年5月号)=環境問題をテーマに活躍する著者夫妻が、イギリスのグリーントラベルについてエッセイ風にまとめたもの。幌馬車で行くカントリーサイドやテムズ川下りなど、カントリーホリデイ恰好の案内本。
●CAZ(キャズ)評(1996年9月24日号)=イギリスの自然に触れることにテーマを絞った、大変目の付けどころの鋭いガイドブック。ピーター・ラビットのふるさとでもある湖水地方(この辺は最近日本人が押し寄せ、地元の人の評判が悪いとか)、森の中でのアナグマウォッチング、そしてハイドパークのような公園の美しさ。パックツアー的なところから一歩踏み込んだ味わいを教えてくれます。
●アサヒタウンズ多摩版評(1996年9月14日号)=イギリスの豊かな自然をこよなく愛する夫妻が綴った、豪華だけれど経済的、そして自然にたっぷり浸れて環境にやさしい休日の過ごし方を紹介したエッセイ風ガイドブック。イギリスの内側に入り込んで体験しているだけに、普通のガイドブックでは見えてこないイギリスの姿が浮かび上がってくる。
●WWF(世界自然保護基金)評(1996年10月号)=イギリスの自然景観の美しさと培ってきた自然文化財保護の経験を学ぶことができるホリデー”をテーマに、二冊で16テーマを紹介している。自然保護ボランティアのテーマでは、活動紹介だけではなく、著者が実際に参加した体験も綴り、他の参加者との交流記でもある。旅行の予定がすぐになくとも、旅行を楽しみながらイギリスの自然保護をもっと知り、参加もできることを知るためにもおすすめしたい。
●バーダー評(1996年10月号)=イギリスでひと味違う旅をしたいというナチュラリストにはうってつけだし、読み物としてもむろん楽しめる。
●トラベル・マネージメント評(1996年9月23日号)=読んだらきっとやってみたくなるにちがいない。
【書評再録】緑の巻「まえがき」より抜粋
この本を書きたいという考えが初めて浮かんだのは1994年の夏だったと思う。その夏、イギリスでは例年になく気温が上がり、それでいて湿度は低いので、イギリス人も外国人旅行者もみな夏を満喫していた。さらに、イギリスの夏は夜10時近くまで明るいので、明るい日差しを思う存分、通常の2倍も楽しめるわけである。
ピムズを片手にリラックスしている私たちの両側で、まるで映画の背景のようにテムズ川の両岸がスローモーションで動いている。ピムズはイギリスで昔から親しまれているスピリッツ。通常ソーダで割り、果物やキュウリのスライス等を浮かべて飲む夏のカクテルとして人気がある。下方から感じられるバージ(寝室、キッチン、シャワーなどをすべて備えた平底船)のエンジンの規則正しい音とかすかな振動が心地よい。バージの屋根の上に座って、よく冷えたピムズを口にしながら、その日一日の出来事をボーッと思い浮かべていたのである。
ヒューと私の間に、ヨーロッパのチーズを並べた皿が置かれている。イギリスからはよく熟成され、なんともいえないこくのあるチェダー、青かびのはえた刺激的なスティルトン。フランスからはクリーミーなソフトチーズ、ブリー、日本でも大人気のカマンベール、そしてチャイブの刻み葉が表面にちりばめられた山羊のミルクからできたゴートチーズ。チーズには目のない私たちは、ヨーロッパに来ると日本では高価なチーズをできるだけたくさん食べる。私にとっては、イギリスはまさにおいしい国。日本に帰るときには、イギリスのスーパーで食料品を買い込んで、スーツケースの中に詰め込む。
バージをレンタルしての旅行はイギリスを内側にある秘密の穴から覗くようなものである。バス、電車等の乗り物で旅をしている時や、ハイキングをしている時よりもさらに低い視点から、両岸の町並みやカントリーサイドを見ることができる。岸からボートを見下ろすとなんでもないが、ボートから岸を見上げた時というのは、目に映るもの1つ1つに新しい発見があるようなとても新鮮な気持ちになるのである。
かの有名なテムズ川で、夏の盛りにバージ旅行をしていたわけだが、日本に住んでいる私たちからみれば不思議なほど静かである。
有名なオックスフォードからウィンザーまで行く。イギリスの自然を満喫しながら、バージの中で料理を作り、ラジオを聞き、シャワーを浴び、ぐっすり眠る。そして、オックスフォードのような大きな町から、名前も聞いたことのないような小さな村まで、気が向いた時に気ままに訪れる。日本では考えられないようなこんなホリデーがイギリスでは簡単に、しかも格安に実行できるというのに、そのことを知る日本人が少なすぎると実感したのであった。
そこで、イギリスに計2年半留学し、イギリス人の夫と親戚を持つことによって知ることができた、イギリスの内側に入り込んでいけるようなホリデーを紹介したいと考え、現地での情報集めを始めたのである。イギリスが多くの旅行者を引き付ける一番の魅力が、その伝統・歴史であろう。多くの歴史的建築物、王室、ダーウィン、ニュートン、ワット、シェークスピア、ケインズ、ワーズワース等、さまざまな学問分野で世界史上に名を連ねる賢人たち。イギリスはまさに成熟の国。数多くの成功や失敗を積み重ねてきた、いわば賢国なのである。
もう一つのイギリスの魅力を挙げるとしたら、その景観の美しさである。歴史の影をところどころに残す町並みも美しいが、なんといっても自然の美しさ、自然と歴史の調和した美しさは格別だ。従来のガイドブックは、イギリスの歴史・伝統についてはよく解説しているが、イギリスの自然美についての記述は少ない。そこで、私たちの調査は、自然を存分に味わい、この老齢の国が培ってきた自然・文化財保護の経験を学ぶことのできるようなホリデー、そして、私たちに安らぎと喜びを与えてくれる自然を保全しようという活動になんらかの形で力になれるようなホリデーということをテーマにして、進められたのである。
この本に紹介したホリデーはすべて、単なる観光客としてではなく、一人の人間としてイギリスの内側に入り込んでいくものである。それ故、イギリスという国の自然や文化、一般の人々との直接のふれあいを通して、真のイギリスの姿が見えてくるはずである。今まで気づかなかった、自然保護の問題や新しいアイデアを得ることもできるだろう。
まずは、ページをめくってエッセーを楽しんでほしい。読みすすめるうちに、遠い昔からイギリスという国を知っているような気分になってくると思う。そして、読み終わった時に、「私もこんな経験をしてみたい」と思ったら、巻末の情報ノートを見てほしい。本文の中で紹介したすべてのホリデーを実現させるために必要な情報を掲載してある。
この本の各章に記述したホリデーは単なるおとぎ話ではない。誰もが、同じ場所に行き、同じものを目にし、同じ匂いをかぐことができ、簡単に「イギリスで楽しむグリーンホリデー」の主人公になることができるのである。旅程の全部を使ってもいいし、一日でも半日でもいい。イギリスに行く機会があったら、少しでもその自然美に目をやってほしい。また、自然を守るために日々努力している人々の力になってほしい。
【主要目次】
1.テムズ川平底船下り(超快適自炊型水上生活)
2.BTCV(イギリスと自然満喫型ワーキングホリデー)
3.スランゴイド・ホール(ローラ・アシュレイの館で貴族の気分)
4.アザラシとキャンピング(アラン島のナイト・ライフ)
5.環境保護アイデアランド(CAT)
6.エクスムアへの旅(静寂さ・景観美そして狩猟)
7.ジョンの箱船(ハウレッツ/ポートリン動物公園)
8.サイクリング革命(鉄道+自転車で出会う本当のイギリス)
内容説明
手づくり・本格派。日本のガイドブックに載らないイギリス自然派旅行術。エッセイ+ガイド。
目次
1 テムズ川平底船下り―超快適自炊型水上生活
2 BTCV―イギリス人と自然満喫型ワーキングホリデー
3 スランゴイド・ホール―ローラ・アシュレイの館で貴族の気分
4 アザラシとキャンピング―アラン島のナイト・ライフ
5 環境保護アイデアランド―CAT
6 エクスムアへの旅―静寂さ、景観美、そして狩猟
7 ジョンの箱舟―ハウレッツ/ポート・リン動物公園
8 サイクリング革命―鉄道+自転車で出会う本当のイギリス
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