出版社内容情報
語る勇気が自己の尊厳と生きる強さを呼び起こした。アメリカで出版されるや、たちまち大反響を巻き起こした有名・無名の女性たち20名の体験集。 ★★★北海道新聞評(1993年10月19日)=本書に登場する女性たちの怒りと苦しみは、まず私たち男性に突きつけられたものであり、私たちは加害者論理に組みすることなく、自身の性と生を問い直すべきだろう。日本でも初の証言集「沈黙をやぶって」が昨年刊行されている。★★★京都新聞評(1992年8月24日)=日本ではこんなことは起こっていないと考えているとしたら、それは大きな誤解である。事態は想像以上に深刻なところにきている。その意味でこれは日本の現実を透視するのにうってつけの著作と言える。★★★教育新聞評=子どもの生きる権利を尊重し、被害者の視点から性暴力問題を分析し、解決方法をさぐろうと編集されている。語り始めることの重要性を指摘するなど、性暴力問題に取り組んでいく姿勢として本書は多くの示唆を与えてくれる。★★★ ●●●「訳者まえがき」より=一編、一編の文章から届く声は読む者の心に突き刺さりそうに鋭利です。怒りと悲しみの感情があまりに強烈にわき起こり、そのやり場がみつからず、困惑してしまいます。彼女たちの声は、日本のまだ沈黙を守りつづけている被害者たちの記憶を呼び覚ますことでしょう。勇気をもたらすことでしょう。言葉を与えてくれるでしょう。心理学者より、セラピストより、犯罪学者より、誰よりも性暴力の被害を受けた人こそが、性暴力の本質をもっともよく知っているのです。人生のネガティブな汚点でしかなかったその体験は、それを語り、意識化しようとするプロセスの中で、その人の強さの拠りどころとなり、その人の存在を支える土台ともなり得ます。語りはじめること、いまだ存在しない言葉を捜しながら、たどたどしくも語りはじめること。性暴力にかかわる言葉を被害者の視点から定義しなおす仕事は、日本では今はじまったばかりです。この本の読者の中から、何人、その仕事の担い手が生まれるでしょうか。●●● 【主要目次】▲▲パート1・「あれはもう終わったことだと思っていたのに」---父親に犯された生存者たち=窓の網(ジュード・ブリスター)/私の覚えていること(マギー・ホーヤル)/夢の記憶(R・C)/それがはじめて起きたとき(ジル・モルガン) ▲▲パート2・「きのうあの男が妹をじっと見ていたのをあたしは知っている」---親戚縁者から性的暴行を受けた生存者たち=うたたね(リン・スウェンソン)/『どうして籠の中の鳥が唄うのかあたしは知ってる』(マヤ・アンジェロ)/兄(ブランシュ・ウドベリー)/カール叔父さん(ルイーズ・ソーントン) ▲▲パート3・「彼を信頼していた」---知人・友人から性的暴行を受けた生存者たち=なぜもっと創造的な女たちがいないのよ(ロイス・フィリップス・ハドソン)/『レディがブルースを唄う』(ビリー・ホリデイ)/カーネギー父さん(キャレン・アシュラ)/神父様のキス(ビバリー・スカイ)/娘(ジャナ・ヴィンセント)/余波(リリアン・ケリー) ▲▲ パート4・「一度も見たことのない男だった」---見知らぬ者から性的暴行を受けた生存者たち=ストリート祭り(マーサ・ロジャース)/『翔んでいる』(ケイト・ミレット)/トロフィー・ガール(アン・シモントン)/ある兵士への手紙(ジーン・アレクサンダー)/塀を越えて(ジェニファー・メイヤー)
目次
なぜ「誰にも言えなかった」のか
この本ができるまで
真理の中にのみ、癒やしがある
1 「あれはもう終わったことだと思っていたのに」―父親に犯された生存者たち
2 「きのうあの男が妹をじっと見ていたのをあたしは知っている」―親戚縁者から性的暴行を受けた生存者たち
3 「彼を信頼していた」―知人・友人から性的暴行を受けた生存者たち
4 「一度も見たことのない男だった」―見知らぬ者から性的暴行を受けた生存者たち
感想・レビュー
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みゃーこ
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン