みんなの保育大学
脳の発達と子どものからだ (改訂増補版)

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  • サイズ B6判/ページ数 228p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784806745655
  • NDC分類 491.371
  • Cコード C0040

出版社内容情報

旧版15刷まで重ねたロングセラー、待望の改訂増補版。
脳が急激に発達する6歳までの保育・子育てはどうあるべきか。
脳の発達と運動や栄養との関係、成長の段階に応じた幼児教育の大切さ、スキンシップの必要性など、脳のはたらきかたの規則にしたがって子どもを育てる神経生理学的育児法を、大脳生理学者の著者がやさしく解説する。

【書評再録】
●日本経済新聞評=人間の脳が胎児期から幼児期にかけてどのようにして一人前になっていくかを解説した本。育児や教育について重要な問題を提起している。
●東奥日報評=教育ママに間違いあり。「健康的な」子育てを願う人に一読をすすめたい。

【読者の声】
■女性(21歳)=どの本もわかりやすく、科学的に書いてあるので納得しながら読んでいます。大学でもこのように教えてくれるといいのにと思ってしまいます。
■女性=保健婦として乳幼児の発達を支援するための身体のメカニズムの理解に役立ちます。さくら・さくらんぼの保育内容も知りたくなってきます。

【内容紹介】本書「はしがき」より
 人間の脳は、自然がつくりあげた傑作といえましょう。それは地上最高の生物機械です。この機械は、赤ん坊が産声をあげたときには、ほとんど配線は終わっているのです。しかしこの機械を動かすには、約20年もかけて手入れをしなければなりません。この手入れの仕方でよい機械にも欠陥機械にもなるのです。すぐれた芸術作品をつくる人や、科学技術の発明・発見をする人はすばらしい機械につくられた人たちです。また狼少女の“アマラやカマラ”、アベロンの野生児は悪い機械につくられた人たちです。外の環境から与えられる刺激と、それにたいする生物機械からの働きかけで、2つとして同じでない生物機械となるのです。
 この生物機械は、自身の機械をよくすることも悪くすることもできる力をもっています。この力の基礎に第1にシナプスの可塑性があり、第2に物質的な裏づけがあること、第3にさらに生後2年間の訓練の大事なことを強調しました。
 私の考えは要約すると、「脳の働きかたの規則にしたがって子どもを育てよ」ということで、神経生理学的育児法と名づけてよいでしょう。
 最近の神経科学の研究では脳の発達のことや脳の高次な機能についてもある程度わかってきたので、従来の経験をもとにした育児法に、脳のほうからの接近もできると私は考えていたのです。
 近ごろは3歳児保育や0歳児教育が強調され、保育が過熱気味です。保育の通信教育もおこなわれています。保育の必要な根拠としてよく引用されるのが、ニューロンの樹状突起の成長が幼児期または胎生期にみられるという事実です。
 ところが、その引用には樹状突起が成長するという話はあっても、なにをしているのか説明がないのがふつうです。脳の生理学や解剖学の知識がまちがって引用され、幼児教育の必要性の根拠として使われています。このような風潮を日ごろから、にがにがしく思っていました。本書ではそのような誤解がおこらないように注意ぶかく書いたつもりです。
 本書を読まれて、生後2ヶ月目から2歳児までの教育の大切さをおもうあまりに、親が一方的に教え込むのに熱中するのは、たいへん困ります。これから育つ子どもが、将来豊かな感性と適切な価値判断力とをあわせもつ人間となるよう、成長の段階に応じて教え、子どもの自発性を伸ばすようにして個性ある人間をつくることが大切であると書いたつもりです。単なる教育競争・詰め込み教育にならないようにしたいものです。外からの刺激にたいして適切な行動のプログラムをつくり、適切に行動できること、つまり前頭前野の訓練が大切なことをくり返しました。他方、脳の発達には体の健康も大切なことで、心臓血管系を強くして体力づくりも重要なことも強調しました。
 本書が保育に役立つことを願っています。

【主要目次】
▲▲第1章・脳のしくみと子どもの頭
   子どもは頭デッカチ/頭のよしあし/脳と体の成長の比較/脳みその中身/脳のいろいろな働き/ニューロン(神経細胞=脳の機能単位)の働き/成長にともなう脳の変化
▲▲第2章・経験でかわる脳の働き
   現代の狼少女「ジーニー」/脳の進化をたどる/神経パルスの伝わりかた/樹状突起の成長/視覚と脳の関係/視覚しゃ断の実験
▲▲第3章・ゆたかな環境と脳の発達
   ゆたかな環境とまずしい環境/スキンシップと脳/小脳と運動機能/子どもの運動の発達/学習の基礎となるもの/幼いときに鍛えよ
▲▲第4章・脳の発達と栄養
   栄養不良と脳/栄養不良とシナプス/栄養不良と知能指数/脳の発達にたいせつな前頭前野/脳の分業と一生
▲▲第5章・右の脳と左の脳
   右と左で分業化/利き手と言語野/左右の脳の障害と症状/スフィンクスのなぞ/反応のスピードと知能/『エミール』と現代
▲▲第6章・質問にこたえて
   刺激と栄養/記憶の問題/指しゃぶりのこと/動物性蛋白が必要/玄米・菜食主義と豆乳/言葉のおくれと利き手/知能指数のこと/スキンシップを考える/脳に対する薬物の効果/これからの脳の進化/どもりのこと/よい環境で保育を
▲▲第7章・「脳研究」のこれから---改訂・増補版のあとがきにかえて
▲▲付言・ほんとうに頭のよくなる保育とは

目次

1 脳のしくみと子どもの頭
2 経験でかわる脳の働き
3 ゆたかな環境と脳の発達
4 脳の発達と栄養
5 右の脳と左の脳
6 質問にこたえて
付言 ほんとうに頭のよくなる保育とは

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