出版社内容情報
旧版19刷まで重ねたロングセラー、待望の新装版。ヒトはどのようにして人になるのか。子育てに科学の眼をとの考え方からはじまったシリーズの第一弾。「さくらんぼ保育園」での講演と座談をまとめた。 ★★★理科教室評=人間の進化の道すじから、子どもの発達段階やヒントをつかむようにと説く。★★★新婦人しんぶん評=手、指、足などの発達が、脳の成長と関係あることが、著者の科学的知識と斎藤園長の実践と結合してみられるなど、興味深いものです。★★★ ■■■女性(21歳)=どの本もわかりやすく、科学的に書いてあるので納得しながら読んでいます。大学でもこのように教えてくれるといいのにと思ってしまいます。■■■女性=保健婦として乳幼児の発達を支援するための身体のメカニズムの理解に役立ちます。さくら・さくらんぼの保育内容も知りたくなってきます。■■■ ●●●「序文」より=保育界だけかと思ったら、地質学界も同じなのかと思ったことがある。それは自分で実践をせず、外国の専門書を翻訳してマスコミにのったり、出世コース、金もうけコースにのる人が日本にはあまりにも多いということである。障害児保育についての論文募集に応募したことがあった。全国の十数人の中の一人として合格し、その発表会を楽しみに出かけたところ、実践者はほとんど私たちの保育者集団だけであって、あとは医師・児童相談所長・大学の研究者たちであった。そして、私たちの保育園の集団でとりくんだ、とてもとても重いちえおくれの子どもが、4歳半でやっと「ママ」という片言が出る程度のちえおくれにもかかわらず、6年間の保育でついに話に不自由はなくなり、仕事もできる、しっかりした人間に育っていった記録を、一枚一枚、脳の発達がわかる絵を見せながら、具体的に発表したのに対し、感動した様子もなく、質問も出なかったのである。ただ一人、医師が「他の障害児も言葉が出ますか」と聞いただけであった。私は、「もちろんこの子がいちばん重い子でしたから、他の子は当然です」と答えた。それだけであった。さて、他の研究者たちの発表の多くは、アンケートを配って、助手に分類させた、というもので、私はこれが学者の仕事か? と深く失望していたので、井尻氏の文章が特に私には快く響くのであった。そして「新・ヒトの解剖」「新・人体の矛盾」「新・文明の中の未開」の三部作を読むにいたって、これらの本は私たち子育ての仕事をするものの必読の書だ、と感じ、失礼もかえりみず講演の依頼の手紙を出した。井尻氏は、最近はどちらもお断りしている、というところを快諾してくださって、1978年の北埼玉保育問題研究会主宰の保育大学は、大いに意気があがった。当日は、あまりに貴重なお話だったので、なるべく参加できなかった方にも知っていただきたいと思い、今回の本にさせていただくことにした。●●● 【主要目次】▲▲第1章・新しい見方、考え方=体験にはじまる/寿司のアカエビ/赤ちゃんのにぎにぎ/日本人の安月給/義理にからんで/日本の結婚式/牛乳か焼酎か ▲▲第2章・子どもの生いたち=赤ちゃんのきた道のり/反復説とは/脳の重さ/人間と動物のちがい/サルの遺産/ガキ大将のもとで/ハレムと社会/自然とは……/もちつもたれつ/親のしつけ ▲▲第3章・皆さんの質問とその答え=母性愛とは/歴史勘をやしなう/まず、実践/広い関心を/育児の主役/なぜ反復がおきるか/オオカミ少年/笑わない子/「役人の子はにぎにぎをよく覚え」/親の無責任/「やったるで」/独創の尊さ ▲▲付・映画「さくらんぼ坊や」における「あそびと労働」について--さくらんぼ保育園での実践
内容説明
ヒトはどのようにして人間になったのだろうか。ヒトの歴史から子育ての意味を考え直してみよう。
目次
1 あたらしい見方、考え方(体験にはじまる;寿司のアカエビ ほか)
2 子どもの生いたち(赤ちゃんのきた道のり;人間と動物のちがい;自然とは)
3 皆さんの質問とその答え(母性愛とは;歴史勘をやしなう ほか)