動揺病―ヒトはなぜ空間の奴隷になるのか

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  • サイズ A5判/ページ数 488p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784806745082
  • NDC分類 493.74
  • Cコード C0047

出版社内容情報

車酔いや船酔いはなぜ起きるのだろうか。
魚類からヒトにまで受けつがれてきた「動揺病」。そこには間違いなく進化の過程で、空間をあやつる巧妙なしくみが隠されてきたはずだ。
著者は、長年にわたる研究・実験を重ねて、ついに「動揺病」をめぐる謎の正体を解明した。

【書評再録】
●日刊ゲンダイ評(1997年9月27日)=動揺病とは、あの車酔いや船酔い、宇宙酔いなど乗り物酔いのことだ。専門的なテーマだが、自然科学入門書としても熟読をすすめたい楽しい本だ。
●医道の日本評(1997年10月号)=耳鼻咽喉科専門医の著者は、長年にわたる平衡の研究・実験を重ねてついに動揺病をめぐる謎の正体を解明した。身体の平衡を維持する原理を知りたい方に。

【内容紹介】本書「序に代えて」より
 動揺病はありふれた現象である。大多数の人が車酔い、船酔いなどでたいてい一度は経験する。通常、小学、中学生時代にかかりやすく、その後、思春期をすぎるとしだいにかかりにくくなる。不愉快な症状ではあるが、大人になると船にでも乗らないかぎり経験することは稀となる。古くから研究されてはいるが、日常的かつノイジーな現象であり、一部の研究者を除いてあまり魅力的なテーマとはいえない。動揺病の主な症状である唾液分泌の亢進、冷や汗、顔面蒼白、吐き気などの自立神経症状は、研究の対象とするにはとらえどころがなく、やっかいなものというのが通説である。
 耳鼻咽喉科に入局し、平衡現象に興味をもち始めた頃、遠縁にあたる医師と話す機会があった。雑談の中で「平衡に興味があるのなら教えてもらいたいが、車酔いはどうしておこるの?」と質問され、返答に窮したのを今でもよく覚えている。その時は、動揺病など取るに足りない現象に思われ、深く考えることはなかった。なぜよりによって動揺病などというつまらない現象を話題にするのだろう、というのが率直な印象であった。しかし、きちんと答えられない自分を腹立たしくも思った。その後長らく平衡の研究に従事してきたが、動揺病を本格的に研究することになるとは夢にも思わなかった。おそらく、その当時動揺病を研究したとしても、核心に迫ることはできなかったであろう。今ふり返ると、30代の前半から10年間は、動揺病を研究するための準備期間にすら思われる。それほどに、動揺病は表面的な軽薄さに反し、奥の深い生体現象と言うことができる。
 筆者は耳鼻咽喉科を専門とする臨床医であるが、30代はじめから現在まで、おもに平衡の研究に従事してきた。数年来たずさわってきた動揺病の研究は、今まで経験したことがないほど刺激的で、知的な興奮を覚えるものであった。動揺病をめぐる謎の正体をついに見つけたと確信したのである。この謎が解けた途端に、それまで予想もしなかった身体の平衡を維持する原理が、ぼんやりとながら見えてきた。この単純な原理を適用すると、種々の現象をうまく説明することができる。共通のキー・ワードは表題にもある「空間の奴隷」である。平衡現象は一言でいうと、生物が空間の奴隷になるか主人になるかということである。

【主要目次】
▲▲第1章・古い世界、新しい世界
   曲がりくねった道/研究のニュー・ウェーブ/闇と光/女の園
▲▲第2章・眼球運動の掟
   迷路の秘密/0.85ヘルツの回転椅子/研究室のドリンカー/動く頭、揺れない世界
▲▲第3章・脳の窓
   敵機とミサイル/眼球運動と重力/ヒトとサルの深い溝/一冊の本
▲▲第4章・動揺病との出会い
   動揺病をめぐる謎/生物学研究の本音/研究のための七か条/上下逆転と左右逆転
▲▲第5章・頭の中の空間
   メルビル・ジョーンズ教授のヒラメキ/ゴミから拾ったダイヤモンド/航空管制センター/頭の中の空間
▲▲第6章・酔いと揺らぎ
   狭いレールに何秒立てる/困惑/教習所のベテラン運転手/諸説紛々
▲▲第7章・天動説と地動説
   内耳センサの役割/糸の切れたマリオネット/幼児はなぜ酔わない/ローラー作戦
▲▲第8章・主人に仕える奴隷
   奴隷を通して主人を探る/起立の不思議/的と弾痕/愚直の一念/ある会話

内容説明

船酔い車酔いなど、暑くもないのに汗がしたたり、食中毒でもないのに吐き気が全身を襲う…。この動揺病は、なぜ魚類からヒトにまで受けつがれてきたのだろうか。そこには、まちがいなく進化の過程で、空間をあやつる巧妙なしくみが隠されてきたはずだ。

目次

1 古い世界、新しい世界
2 眼球運動の掟
3 脳の窓
4 動揺病との出会い
5 頭の中の空間
6 酔いと揺らぎ
7 天動説と地動説
8 主人に仕える奴隷

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