出版社内容情報
●●●本書「訳者あとがき」より=四囲環海、野山にしげる木々の緑は深く、流れる水の綺麗な、この日本の国にうまれた私たちは、春秋の季節のうつりかわる時には、きまってたくさんの鳥たちが空をゆきかい、四季さまざまな魚類が岸辺に回游してくることを、ごくあたりまえの自然のいろどりとして、遠い昔から知っていた。しかしあの小さな蝶や蛾が、海を越え山を越えて、長い距離を集団で移動するということにはあまり気付かなかったし、いまでも昆虫学を専攻するごく一部のものをのぞいては、ほとんどの人がこれを知らない。おそらく欧米の人々にとってもこのことは同じであろう。本書はそうした自然界にひめられた驚異のひとつを、多くの人々に知ってもらうために、生涯の大半をこの研究のためにあけくれたウィリアムズ博士が、手許に集められた厖大な資料と、自らの体験を集大成して書かれた古典的名著である。●●● 【主要目次】▲▲第1章・序論=昆虫の渡りについて/昆虫の渡りの研究史概略 ▲▲第2章・渡りの事例=英国の蝶の渡り/英国以外での蝶の渡り/蛾の渡り/トビバッタ、トンボ、テントウムシなどの渡り ▲▲第3章・渡りの諸問題=渡り飛翔の本質/飛翔の方向/回帰飛翔の問題/英国における蝶と蛾の飛来---侵入の一世紀/個体数の問題/地理的分布の問題/昆虫の渡りを理解するための諸問題/昆虫の渡りと他の動物の渡りとの関係 ▲▲第4章・研究方法=標識昆虫の利用/情報の収集と研究/昆虫の渡りの参考書
内容説明
小さな昆虫類が、渡り鳥のように長い距離を集団で移動する、という自然界の驚異のひとつを、生涯の大半をかけて研究した著者の厖大な資料と自らの体験を集大成して書かれた名著。依然として神秘と謎につつまれた“昆虫の渡り”を解説する。
目次
1 序論(昆虫の渡りについて;昆虫の渡りの研究史概略)
2 渡りの事例(英国の蝶の渡り;英国以外での蝶の渡り;蛾の渡り;トビバッタ、トンボ、テントウムシなどの渡り)
3 渡り諸問題(渡り飛翔の本質;飛翔の方向;回帰飛翔の問題;英国における蝶と蛾の飛来;個体数の問題;地理的分布の問題;昆虫の渡りを理解するための諸問題;昆虫の渡りと他の動物の渡りとの関係)
4 研究方法(標識昆虫の利用;情報の収集と研究;昆虫の渡りの参考書)