出版社内容情報
熱帯雨林に関心のあるすべての人が知っておくべき基礎知識をこの一冊に凝縮した。熱帯雨林の植物、動物、森林構造、地球史からみた熱帯雨林についての解説と、多雨林での育林施業から生まれてきた実践的な知識、森林更新の基礎理論である「ギャップ動態論」や熱帯雨林の持続可能な利用を条件づける養分循環についてを一つに統合した。 ★★★朝日新聞評(1993年10月31日)=動植物を育ててきた種の“揺りかご”に未来はあるか、と警鐘を発する。南米の多雨林に踏み入った19世紀西欧人の絵など、図版資料が興味深い。★★★林業技術評(1993年12月号)=熱帯林へのさまざまなアプローチを示している。熱帯雨林が見せる驚くべき植物と動物、植物と微生物の連関と共生、地球の歴史の中での熱帯、熱帯雨林の動態、養分の循環、種多様性など、いずれも熱帯林研究のホットな話題である。訳者たちの努力によって、われわれも博士の博識に触れることができるようになったのは幸いである。★★★小学図書館ニュース評(1994年11月8日)=熱帯雨林の世界的権威、ホイットモア博士が、こうした熱帯雨林の動植物の謎に包まれた生態を解き明かした本。熱帯雨林に関心を抱くあらゆる人々の入門書となることでしょう。★★★ ●●●「日本語版へのまえがき」より=この書物のねらいは、多雨林がなぜ重要なのか、その喪失をだれもが憂慮する原因がどこにあるかを明らかにすることだ。それと同時に、適切な配慮と多雨林の生態系についての正しい理解があれば、多雨林の基本的な特性と機能を維持しながら木材やそのほかの林産物を持続的に収穫できるということが示されている。ただしそのようなサステナブルな利用を実現するには、消費者からの積極的なプッシュが何よりも大切である。日本は熱帯材の重要な市場であり、国際市場に登場する熱帯産広葉樹材の約3分の1を輸入している。そのほとんどは南洋材であって、マレーシア、インドネシア、パプアニューギニアで生産されたものだ。つまり日本の動きいかんで世界の熱帯雨林の将来は大きく左右される。読者のみなさんは、この日本語版を通して多雨林の価値とそれが消失することの重大さをあらためて認識されることであろう。多雨林の産品を消費するすべての人びとは、これらの壮大な多雨林を破壊から守り、その恩恵を将来世代とも分かちあえるよう、持続的で注意深い経営の確立に向けて合同しなければならない。●●● 【主要目次】▲▲第1章・熱帯雨林への誘い ▲▲第2章・熱帯雨林とは?=熱帯湿潤林とその気候/森林群系/森林の持続---成長サイクル/植物相/熱帯雨林群落の性質/熱帯雨林とは---章のまとめ ▲▲第3章・植物の生活=ツル植物と着生植物/樹木/季節性/植物の生活---章のまとめ ▲▲第4章・多雨林の動物たち=動物相の豊かさと多様性/共存の様式/森林の収容力/多雨林の動物たち---章のまとめ ▲▲第5章・植物と動物の結びつき---生命の織りなす網=送粉者としての動物/種子散布者としての動物/植物網、動く結び目、そしてかなめの種/共進化/森林保全とのかかわり/植物の交配システム/動物と植物の結びつき---章のまとめ ▲▲第6章・熱帯雨林に刻まれた地球史=古地理学/古気候/更新世の遺存生物地帯(レフュジア)/マレシアにおける季節性気候要素/高山植物/環境保護/熱帯雨林に刻まれた地球史---章のまとめ ▲▲第7章・森林動態=森林微気候/先駆樹種と極相樹種/種子と実生の生態/種多様性の構成要素/成長と耐陰性の解析/かく乱のレジーム/森林施業/成長速度と寿命/人為的なかく乱後の森林回復/極相の多雨林の動態/森林動態---章のまとめ ▲▲第8章・養分とその循環=移動耕作/原生多雨林における養分のプールと循環/森林の利用と養分循環/ヒース林---脆弱な生態系/上部山地林の謎/養分とその循環---章のまとめ ▲▲第9章・種の豊富さ ▲▲第10章・熱帯雨林の過去、現在、そして未来=先住民文化/植民地時代/森林副産物/熱帯雨林の現在/憂慮の原因/希望の光/遺伝子資源の保全/保全のための熱帯雨林の経営/熱帯雨林の過去、現在、そして未来---章のまとめ
内容説明
熱帯雨林の植物、動物、森林構造、地球史から見た熱帯雨林についての解説と、多雨林での育林施業から生まれてきた実践的な知識―。森林更新の基礎理論である「ギャップ動態論」や熱帯雨林の持続可能な利用を条件づける養分循環についてをひとつに統合。専門を問わず、熱帯雨林に関心のあるすべての人が知っておくべき基礎知識をこの1冊に凝縮した。
目次
第1章 熱帯雨林への誘い
第2章 熱帯雨林とは?
第3章 植物の生活
第4章 多雨林の動物たち
第5章 植物と動物の結びつき―生命の織りなす網
第6章 熱帯雨林に刻まれた地球史
第7章 森林動態
第8章 養分とその循環
第9章 種の豊富さ
第10章 熱帯雨林の過去、現在、そして未来
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- お父さんには言えないこと