出版社内容情報
●●●大来佐武郎氏(「推薦の辞」より抜粋)=今後ますます重要さを加えるであろうみどり造りに生甲斐を求める多くの若人が、筆者の苦闘を無駄にせず、そのあとに続き、更に移り変わる新しい情勢への対応に、本書が少しでも役立てば、私にとっても筆者にとっても望外の喜びである。●●● ★★★地理評=林野行政に携わってきた著者による問題点の指摘と提言からなっている。豊富なデータも示されており、いろいろな意味で考えさせられる内容を含んでいる。★★★ ●●●「序」より=自然の強烈な力による一瞬の森林破壊と、昨今多くの人々の関心をひいている熱帯林の破壊とはかなり様相が異なっている。熱帯林の破壊は、人里離れた奥地や過剰人口をかかえた農村周辺部などで、時としては感知できないほどゆっくりと進むが、その進行は休むことなく、かつ、広域的に破壊が進む。あたかも慢性病のようだが、放置しておけばまさに致命的であって、それに対する人類の対応の遅さ、鈍さには時としていらだちさえ感じさせられる。近年になって、熱帯林破壊の全体像が、人工衛星などの調査でようやく明らかとなり、国連機関や各国政府、民間団体等の心ある人々により、この問題の重大性とそれへの対応の緊急性が、国境や人種を越えて叫ばれるようになった。私は20余年にわたって世界各地の森林を回り、そういった問題を自分の目で見、肌で感じ取ってきた。その間の体験に基づいて、今や地球的な課題となった森林破壊の実態を伝え、それへの対応策を私なりに描き出そうとしたのが本書である。その体験の中には国際協力事業団の誕生のいきさつや、途上国の森林の奥深くで森林の破壊と戦っている人々への友情、緑の協力の現場で味わった数々の悩みなどへの熱い思い出が込められている。本書はまた、先進国と途上国が手を取りあって熱帯林破壊対策に立ち上がろうとしている最近の状況にも触れた。森林破壊に対応して緑を積極的に造成していくのには、大変な努力と根気が必要である。森林こそは人間にとって生産面でも環境保存の面でも、かけがえのない資源であるという認識の下に、森林復興・保全の自助努力を続けて、世界的に高く評価されている例を、韓国・中国に見たことについて触れた。この本が多くの人々に、森林調査や国際協力の体験を少しでも伝え、また、当否はともかくとして、私の緑造りと森林防衛についての考え方を理解していただくための助けともなれば望外の喜びである。さらに本書が、現在、緑の協力の推進者として活躍している方々の労苦をいくらかでも世に伝え、また、今後その種の仕事に活躍される方々にとって何かの形でお役に立つことができれば、私の幸せはこれに尽きるというものである。●●● 【主要目次】▲▲第1章・未知のみどりを求めて=南のみどりと北のみどり/万博国連館での感動/アフリカにひかれて ▲▲第2章・日本の木材需要と開発途上国の緑の実態=日本の木材輸入の実態/警鐘/世界の森林と利用・管理の実態 ▲▲第3章・みどりの国際協力=国際協力事業団の誕生/みどりの協力---典型的な二つのプロジェクト ▲▲第4章・熱帯林の破壊と対応=熱帯林破壊の指摘/熱帯林破壊の実態と原因/熱帯林破壊への対応 ▲▲第5章・立ち上がる隣国の緑づくりに励まされて=韓国の緑の回復/中国の緑づくり
目次
1 未知のみどりを求めて(南のみどりと北のみどり;アフリカにひかれて)
2 日本の木材需要と開発途上国の緑の実態(日本の木材輸入の実態;世界の森林と利用・管理の実態)
3 みどりの国際協力(国際協力事業団の誕生;みどりの協力―典型的な二つのプロジェクト)
4 熱帯林の破壊と対応
5 立ち上がる隣国の緑づくりに励まされて(韓国の緑の回復;中国の緑づくり)