アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ―「環境ビジネス+社会開発」最前線

アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ―「環境ビジネス+社会開発」最前線

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  • サイズ B6判/ページ数 218p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806721901
  • NDC分類 612.62
  • Cコード C0036

出版社内容情報

世界に冠たる高級車メーカーの内装材は、アマゾンの僻村の、使用済ココナッツ殻だった。
企業戦略と持続可能な社会開発・熱帯林再生の幸福な両立……
「ポエマ計画」と呼ばれ、現在37の自治体が参加している社会開発プロジェクトの成功例を、ドイツ・ブラジルでの取材をとおして克明に描き出す。

【書評再録】
●朝日新聞評(1998年2月8日)=「環境と貧困の同時解決」を目指すこの計画は、「自然調和型の新しい文明の創造」のきっかけを作る可能性を秘めている。
●カーグラフィック評(1998年3月号)=地球環境問題を総合的に捉えるためにも、なかなか参考になる一冊である。

【内容紹介】本書「まえがき」より
 森林を破壊せずに、守り、再生していく。そしてそのことが、地域住民の経済的な自立と付加価値の高い高度な産業活動に結びついていく。アマゾンの奥地で始まった一つの試みは、森林保護か産業開発かという二者択一の選択肢に縛られた硬直的な考えから、私たちを解き放ってくれるかもしれない。
 農産物を自分たちで加工することで、アマゾンの小規模な農民は、安定した収入を得ることができるようになった。荒れていた農地は多種類の有用樹と作物を植えられて豊かな土壌を取りもどしつつあり、新たに熱帯林が焼かれることもない。そしてメルセデス・ベンツ社は、従来よりもコストが低く高機能の素材を手に入れることになった。クルマは鉄とプラスチックなどからできている。プラスチックを焼却することで発生するダイオキシン問題一つを考えても、リサイクルできるクルマづくりはどこのメーカーでも必至の命題だ。
 軽くて丈夫でリサイクル可能なクルマをつくり、軽量化によって燃費も向上する。そして、そうしたクルマづくりをすることが、アマゾン奥地の農村に職をもたらし、持続可能な村落開発を可能にする。そんなうまい話があるのだろうか。その試みをポエマ計画という。
 ポエマ計画では、「援助」ではなく、アマゾンの農村の村人たちと対等なビジネスパートナーとして取り引きするという。ドイツ最大規模の企業とブラジルの小農民が対等にビジネスするとは、にわかには信じがたかった。だがそうした興味をきっかけにポエマ計画について調べ始め、現地での調査も重ねた。
 取材してみると、そこには確かにアマゾンの熱帯林保全や第三世界の農村開発を進めるための、きわめて重要なコンセプトが見事に取り入れられ、実践されていた。それだけでなく、外国企業のいわゆる開発途上地域への直接投資や現地生産システムのあり方を考える上でも参考になることが多かった。参加型の社会開発と結びついた対等なビジネス関係を築くことは可能である、との確かな感触を得ることができた。
 その意味で、本書は環境保全や国際協力に関心をもつ人のみならず、自動車産業などのビジネスに携わる人たちにも読んでほしい。また、ここで紹介する地域開発の方法は、日本の行政機関や自治体などにとっても参考となる部分が多々あろう。

【主要目次】
ポエマという夢に酔う男たち/ベンツの組立工から「緑の党」の議員になってアマゾンへ/「ポエマ計画」前史/アマゾン河口のマラジョー島、プライヤ・グランジ村へ/ココヤシ農園をアグロフォレストリーの森に/昔の知恵をとりもどす/ポエマ計画を支える技術/ポエマ計画を支える資金

内容説明

世界に冠たる高級車メーカーの内装材は、アマゾンの僻村の、使用済みココナッツだった!ドイツを代表する大企業とアマゾンの人口200人の村が、対等なパートナーシップを結び、その村でゴミとして捨てられていたココナッツ殻を原料にして、村人たちがつくった部品を、ブラジルで生産されるすべての車両に装備している。ヨーロッパ高級車メーカーの素材開発と、南米アマゾン僻村での持続可能な社会開発・熱帯林の再生の幸福な両立。そのプロセスを、ドイツ、ブラジルでの取材を通して克明に描く。

目次

第1章 ポエマという夢に酔う男たち
第2章 ベンツの組立工から「緑の党」の議員になってアマゾンへ
第3章 「ポエマ計画」前史
第4章 アマゾン河口のマラジョー島、石崎郡大浜村へ
第5章 ココヤシ農園をアグロフォレストリーの森に
第6章 昔の知恵をとりもどす
第7章 ポエマ計画を支える技術
第8章 ポエマ計画を支える基金

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

KM

0
タイトルに惹かれて手にしたこの本、しかし予想以上に面白かった。環境保全と車の生産、一見相反するものを同時にやってのけた人物の記録が書かれている。もちろん、再利用できる材料と技術の開発も凄いのだが、注目したいのはベンツ社がブラジルの僻地に会社を構え、実際に運営しているということだ。そんなこと当たり前じゃないかと思われるが、地域住民を雇い効率的に生産を行うことを可能にしていると分かるとその凄さが理解できる。日本企業も多数海外に進出してる昨今、会社の運営の参考になるのではないだろうか。2013/10/02

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