出版社内容情報
洪水などの撹乱を利用して更新してきた「水辺林」は、
河川開発によってその貴重な更新機会の多くを失った。
在来種が少なくなった水辺には外来樹種が侵入し、
その伐採に多くの手間と時間が割かれている。
豊かで健全な水辺環境を未来に残すためには、
まず、水辺に生きる樹木たちがいかにして水辺環境を生き抜き、
子孫を残すのかを知らなければならない。
本書では、100点近いカラー写真とともに、個々の樹種の生態から水辺林保護のポイントまで、
水域と陸域のつながりを取り戻すための理論と実践をやさしく解説します。
内容説明
渓畔林・河畔林の樹木と長年向き合ってきた著者が、個々の樹種の生態から水辺林保護のポイントまでやさしく解説。渓流や河川沿いに分布する「水辺林」は洪水などの撹乱を機に更新してきたが、河川開発にともなう流路の固定化によって、その貴重な更新機会の多くを失った。そして、在来種が少なくなった水辺には強い繁殖力をもつ外来樹種が侵入し、その伐採に多くの手間と時間が割かれている。科学的な根拠や長期的な視点抜きで行われる伐採などの河川管理や開発は、人と自然双方に厳しい結果をもたらしかねない。本書では、水辺林保全と再生への足がかりとして、水辺の樹木の不思議な生存戦略、外来樹種の管理抑制方法、水辺林保護の具体例などを紹介する。
目次
第1章 失われる水辺林
第2章 水辺林とは何か?
第3章 水辺の樹木の多様な生き方
第4章 代表的な水辺林とそこに生きる樹木
第5章 なぜ樹木は水辺で共存できるのか?
第6章 大規模撹乱後の水辺林の更新状況を調べてみたら
第7章 水辺林への侵入者ハリエンジュ
第8章 どのように水辺林を再生し復元するか
第9章 水辺林をまもる
著者等紹介
崎尾均[サキオヒトシ]
1955年大阪府生まれ。1982年静岡大学大学院理学研究科修士課程修了。博士(理学)。現在は、新潟大学佐渡自然共生科学センターフェロー、新潟大学名誉教授、Botanical Academy代表。専門は森林生態学、樹木学で、特に水辺の樹木の生活史や保全・再生について研究している。研究フィールドは富士山、秩父、佐渡島、只見、屋久島など。森林や植物に関するセミナーや講義、自然ガイドやサイエンスカフェなども行っている。環境水俣賞、尾瀬賞、日本生態学会大島賞、日本森林学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aki
竜王五代の人
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