内容説明
切り株の輪っかを数えれば、樹木の年齢がわかることは、みな知っている。しかし、この輪っかが、過去2000年の1年ごとの詳細な気候の変化を明らかにし、自然が人類史にもたらした影響を解き明かしてきたことを知る人は少ない。年輪研究の第一人者が、地球環境と人類史との複雑な相互作用を解き明かす、新しい科学の意義と楽しさを余すところなく語る。
目次
砂漠と天文学と年輪
アフリカで年輪を数える
ギリシャ神の名を持つ長寿木
年輪が語る驚愕の事実
石器時代、感染症、難破船と年輪
真実を葬ろうとする政治家たち
鍾乳石と年輪から見るヨーロッパの気候変動
中世北ヨーロッパの寒冷気候
ハリケーンの発生を予測できるか
突発的激甚イベントと年輪
ローマ帝国の分裂と崩壊をもたらした寒波と感染症
王朝の興亡と気候変動
アメリカ南西部の古代遺跡と巨大旱魃
地球をめぐる風
アメリカの森林火災史と旱魃
これからの地球環境と年輪年代研究
著者等紹介
トロエ,バレリー[トロエ,バレリー] [Trouet,Valerie]
世界のトップ年輪科学者の一人。アリゾナ大学年輪研究室所属の准教授。ベルギー出身
佐野弘好[サノヒロヨシ]
1952年大阪府生まれ。九州大学大学院理学研究科修了。理学博士。九州大学理学部助手、同大学院理学研究院教授を経て、2018年定年退職。九州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
23
関心のある分野の本はたくさん読んできたので、もうたいがいの事は(浅学ながら)驚かず、読書の楽しみの一つである知らなかったことを知る機会がどんどん少なくなってきたなあと思っていたら、久しぶりに最初から最後まで面白い本に出会えた。▼寿命が5000年の樹木があることにも驚くが、さらになぜ年輪から1万5千年前まで気象の推移が正確に遡れるのか?その解明にも唸ったし、お読みいただければ年輪年代学の新分野を切り開いてきた研究者たちの興奮が一緒に味わえると思う。以前、海洋大循環の本を読んでその影響力の大きさに驚いたが、⇒2021/08/24
Wataru Hoshii
3
年輪年代学の第一人者による入門書。タイトルに惹かれたが、世界史への考察は本書のほんの一部に過ぎない。この学問の成り立ち、具体的な調査方法、得られる気候研究の知見、他の気候研究方法との協力でわかること、歴史的な出来事への考察、地球温暖化への警鐘と対策案まで、フィールドワークでのエピソードを絡めながら、まさに「年輪年代学の全て」という感じ。産業革命以来の温暖化は年輪が明白な証拠であることを実感。そしてヨーロッパ最古の木は樹齢1000年ぐらい、世界最古は樹齢5000年ぐらいというのは、ちょっと意外な感じ。2021/11/03
Jau
1
面白いけど、文が長い! 欧米の博士課程の世界って、冗長に書くことが荘重だという文化でもあるんかな?と想像してしまう(他の本からも)。 「年輪ですべてが分かる」わけではなく、 考古学の史料に、他の角度からの情報になったり、歴史上の記録をその理由を推論したり。 若かりし著者の学生時代からの、研究者への道を拓く苦労話と、交じり合わせて書かれているのも、面白い。2022/04/07
Go Extreme
1
砂漠と天文学と年輪 アフリカで年輪を数える ギリシャ神の名を持つ長寿木 年輪が語る驚愕の事実 石器時代、感染症、難破船と年輪: 放射性炭素同位体年代と年輪年代の精度 法隆寺のヒノキの新事実 真実を葬ろうとする政治家たち 鍾乳石と年輪から見るヨーロッパの気候変動 中世北ヨーロッパの寒冷気候 ハリケーンの発生を予測できるか 突発的激甚イベントと年輪 王朝の興亡と気候変動 アメリカ南西部の古代遺跡と巨大旱魃 地球をめぐる風 これからの地球環境と年輪年代研究2021/08/13
takao
1
ふむ2021/07/22
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