内容説明
月の暦、月の地図、月への有人飛行。古代から現代まで、世界のいたるところで人は月に惹きつけられてきた。自らも月を愛してやまない著者が、天文学から文化誌までその営みを紐解く「月大全」。
目次
ラスコー洞窟から月を見る
月の地形をたどる
月の光
月神シンと忘れられた神殿
さまざまに描かれる月
レンズの進化と望遠鏡
月をめぐる最初の競争
修道士リッチョーリの苦悩
月面を闊歩するユニコーン
月に肉薄した人々
月に迫る地質学者と科学者
月がもつ裏の顔
コロリョフの夢
月面軟着陸、成功
「ここはとても美しい」
忘れられていく月
偶然、誕生した月
月面前哨基地、建設計画
月から火星へ
月を刻みつけた人たち
著者等紹介
ホワイトハウス,デイビッド[ホワイトハウス,デイビッド] [Whitehouse,David]
イギリスの科学ライター。かつてはジョドレルバンク天文台およびロンドン大学マラード宇宙科学研究所に在籍し、その後、BBC放送の科学担当記者となり、テレビ番組やラジオ番組に出演するかたわら、イギリスの雑誌や新聞に定期的に寄稿。王立天文学会会員。2006年には科学とメディアへの貢献をたたえて、小惑星(4036)が「ホワイトハウス」と名付けられた
西田美緒子[ニシダミオコ]
翻訳家。津田塾大学英文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
77
月を巡る神話や物語は日本に限らず、古来より少なからず見受けられる。近代より遥かに夜の闇の深かった古(いにしえ)において、月明かりの煌々たる輝きの眩さは想像を絶するものがあったろう。新月や曇天で月が隠れた夜の闇は、とてつもなく深かったろう。現代であっても、ちょっと郊外の山間の道に足を踏み入れたなら、漆黒の粘り付くような闇に呑みこまれるような感覚を覚えることがある。いや、家の庭ですら、街灯とは反対側の一角では思わず手を伸ばして歩いてしまう。 2020/09/08
きゃれら
12
しっかりと記憶している歴史的出来事の一番最初は、アームストロング船長の月面での1歩だ。そのテレビ中継以来、半世紀ぶりのワクワク体験をすることができた本である。月と地球が今の形、今の関係になった経緯についての科学的な推論(とても蓋然性が高いらしい)は、最近の読書では思い出せないくらいドキドキした。あるいは僕は天文学者になるべきだったのか。宇宙の中で孤独というよりない我々地球人にいつも寄り添ってくれている月について、人類が生まれる遥か昔から未来までを語りつくしてくれている。図書館本だが、買っちゃう?2021/05/23
merci
2
☆☆☆☆有人月面着陸の第一歩へのアメリカとソ連の競争シーンがとても印象的でした。数日を競う開発競争があったんですね。資料としても貴重な本。2023/08/14
呑司 ゛クリケット“苅岡
2
ずっと地球に寄り添っていてくれる月の存在を科学と歴史から見直す本。ガリレオはレンズの発明者でもなく、望遠鏡の発明者ではない、しかし月を宇宙を望遠鏡で覗こうと思ったのは彼が初めてだったというエピソードが心に残った。もっと月を身近に見ていたいと思った。2021/06/03