水資源開発促進法―立法と公共事業

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水資源開発促進法―立法と公共事業

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  • サイズ B6判/ページ数 184p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784806714507
  • NDC分類 517.09
  • Cコード C0030

出版社内容情報

政権交代でも変えることができなかった巨大公共事業の根拠法を徹底検証する。

立法以来50年、その政策的役割を終えた1本の法律が、
待ったなしの財政再建に立ちはだかっている。
政権交代でも変えることができなかった
巨大公共事業の根拠法を徹底検証する。

河川行政では混迷が続いていた。
1997年の河川法で計画決定時に住民参加を可能とする手続が加わったが、
旧来型の事業者主導の事業の進め方や計画の策定方法は、
一部の例外を除いてほとんど変わらなかった。
今度こそは河川行政を転換させ、長期化して必要性を失ったダム事業を中止させ、
住民の生活再建も含めて軌道に乗せる必要がある。そのためには、
要のポストにその職責にふさわしい人物を念のために推す必要があった。
「念のため」というのは、民主党のマニフェストを読めば、
必ずやこの人が起用されるだろうと思う人物がいたからである。
(本書「序章」より)

序 章 官僚機構・解体のための劇薬について
   政権運営開始から1カ月
   政権運営開始から3カ月
   政権運営開始から1年
   ダムが止まらないわけ

第1章 開発スキーム「水資源開発促進法」
   広域的な用水対策に合わせた七水系の指定
   4省なわ張り争いの調整機関として誕生した「特殊法人水資源開発公団」
   護送船団としての国土審議会水資源開発分科会
   七水系の水資源開発基本計画(フルプラン)と全総
   特別会計

第2章 見えてきた成長の限界――繰り返された勧告
   見えてきた限界
   会計検査院が繰り返した指摘
   行政監察による勧告
   行政刷新会議による「行政評価」の事業仕分け
   取り残された日本

第3章 方向転換のためのハードル
   開発スキーム改革の原型
   改革メニューとしての基本法――中央省庁改革は省庁合体に
   特殊法人の独立行政法人化への布石
   整理合理化による審議会の合体
   費用便益分析の導入
   政策評価法で自己評価
   “水資源開発促進法を廃止することは考えていない”
  ◆コラム1 他者評価(事業仕分け)から自己評価(行政事業レビュー)へ
   特殊法人から独立行政法人への看板の書き換え
   国会議事録に刻まれた外れた未来予想図
   独立行政法人整理合理化計画
   「水の供給量を増大させない」と条件のついた設置法

第4章 ピラミッドの解体
   元技監による新法の運用
   政策形成過程にそびえるピラミッド
   収入を国にたよる公益法人
   学識経験者を隠れみのにする公益法人
   民にゆだねる事業への天下り解禁
   公益法人制度改革でも天下り解禁
  ◆コラム2 ピラミッド解体策の観点の推移
   収入を国にたよる民間企業
   裾野の広いピラミッドに退職後の生活を依存する官僚OB
   官僚OBによる官制談合
   新しいモデル

第5章 税金は海に流れ続ける
   使わない工業用水を海に流す長良川河口堰
   上げ底4割、年3回の観光放流をする徳山ダムの今
   税金の捨て場と化す木曽川水系連絡導水路事業
   地方公共団体が撤退した幽霊事業、丹生ダム
   代替案が一顧だにされなかった川上ダム
  ◆コラム3 1997年改正河川法の忠実な運用を試みた淀川水系流域委員会
   地すべりで30年遅れ、事業費4倍の滝沢ダム

第6章 ラスパイレス指数118・7の組織運営
   座席表でわかる余剰人員の配置
   シニアスタッフという内部天下り
   本来業務を外注する「総合技術センター」
   水資源開発促進法を逸脱する「総合技術センター」
   地方公共団体負担の9割は人件費・その他
   点検業務も外注する管理業務
   併任のカラクリと黒塗り資料

第7章 根拠法の廃止
   ひな形のある「世論」
   テレビに映し出される「住民」
   法手続で追及する建設官僚OB議員
   政治献金と八ッ場ダム
   ダム推進マニュアル
   廃止をしても困らない
  ◆コラム4 政策の完了と法律の失効・廃止例

あとがき――世代間の不公平負担を避けるために

【著者紹介】
ジャーナリスト。 2011年東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。 専門は河川行政における公衆参加と情報公開。 衆議院議員の政策担当秘書などを経て現職。 行政刷新会議による2009年の事業仕分け第一弾で仕分け人を務める。 河川、環境、住民参加、情報公開を切り口に、取材執筆活動中。 著書に『日本で不妊治療を受けるということ』(岩波書店、2004年)、共著・執筆参加に『八ツ場ダムは止まるか 首都圏最後の巨大ダム計画』(岩波書店、2005年)、『ハンドブック市民の道具箱』(岩波書店、2002年)ほか。

内容説明

立法以来50年、その政策的役割を終えた1本の法律が、待ったなしの財政再建に立ちはだかっている。政権交代でも変えることができなかった巨大公共事業の根拠法を徹底検証する。

目次

序章 官僚機構・解体のための劇薬について
第1章 開発スキーム「水資源開発促進法」
第2章 見えてきた成長の限界―繰り返された勧告
第3章 方向転換のためのハードル
第4章 ピラミッドの解体
第5章 税金は海に流れ続ける
第6章 ラスパイレス指数118.7の組織運営
第7章 根拠法の廃止

著者等紹介

政野淳子[マサノアツコ]
ジャーナリスト。2011年、東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。専門は、河川行政における公衆参加と情報公開。衆議院議員の政策担当秘書などを経て現職。行政刷新会議による2009年の事業仕分け第一弾で仕分け人を務める。河川、環境、住民参加、情報公開を切り口に取材執筆活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。