内容説明
炭と菌根を使って、世界各地の森林再生プロジェクトをリードしてきた菌類学者が、ロシア、アマゾン、ボルネオ、中国、オーストラリアなどでの先進的な実践事例を紹介する。
目次
1 枯れる
2 伐られる
3 燃える
4 熱帯雨林の再生
5 苗づくりから始める
6 食える森を作る
7 広がる塩湖とユーカリ
8 炭鉱残土に植える
9 緑に帰る山々
10 未来へ向けて
著者等紹介
小川真[オガワマコト]
1937年京都生まれ。京都大学農学部卒。農学博士。森林総合研究所土壌微生物研究室長、環境総合テクノス生物環境研究所長、大阪工業大学工学部環境工学科客員教授などを歴任。日本菌学会教育文化賞、日本林学賞、ユフロ(国際林業研究機関連合)学術賞、日経地球環境技術賞、愛・地球賞(愛知万博)などを受賞。現在、「白砂青松再生の会」会長として、炭と菌根による松林再生ノウハウを伝授するため、全国を行脚している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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びぃごろ
14
20年以上海外植林に携わり、91~05年は関西電力系列で環境植林問題に取組む。いまや「温暖化」でなく「気候変動」。産業植林は環境植林にあらず。環境問題=エネルギー問題。化石燃料は有限、エネルギーの生産方法と使い方を大きく転換すべし。節電、ガソリン・灯油・ガスの浪費を慎む。捨てられている間伐材や枯死木を活用する仕組みを。「化学は善、進歩は正義」と突き進みすべて人の手で解決できるものと自惚れているのでは。自然と共生というより我々は自然の中に抱かれているのだ。本文は11.3.1に仕上がり3.11後はあとがきに。2018/02/05
とろまつ
8
様々な国で森林再生事業に従事してきた農学博士による、これまでの活動を記した本。炭に菌根菌を吸着させて木を植えると活着率、成長率が上がるという事だけではなく、樹種やその土地柄により相性の良い菌も様々、植栽してから成果が分かるまで十数年かかり、現地の事情により研究を続けられなかったり、資金源をどう確保するか。森林再生というお金にならない事業をどう進めていくのか、厳しい現実がひしひしと伝わってくる。もう少し菌根菌と炭素にまつわる話を求めていたのですが、それは別の著書にあるらしい。活動背景がよく分かる内容でした。2020/03/29
rbyawa
1
e162、もともとが根菌(再生の基準になってたあれ、これの一部がキノコ)を扱っていて人に訴えるためにマツタケに転向し、どうも連作障害や松枯れなどはこの根菌がいなくなったことと関係があるのではないのかな、という持論を持ち。最近はもっぱら森林再生に関わっているのかなぁ、私、知らなかったんですが関西電力が森林再生にかなり大きな役割果たしてるんですね、CO2排出権絡みの案件もあるとは言え偉いなぁ。根菌の単独研究が難しいこともあってどうも全体的に再生事業の内実や各ケースの事情って感じの本ですね、理論本じゃないかも。2014/06/11
ず
1
森林火災というとおそろしい環境破壊のイメージだったけど、それすら植物が利用しているとは驚き。研究者と現地のひとの利害の対立とか興味深い話がいっぱい。2011/10/29
dimsum
1
植林の技術開発・推進をされてきた著者の足跡。アジア〜オーストリア。樹木を相性の良い菌+炭と植えると根付きがよい。「それでも木を植え、森を育てる」ことから、地球の明日が始まると信じよう。(p242)2011/09/24