内容説明
アメリカの国立公園の成立・発展過程を詳細にたどりながら、アメリカにおける自然観や環境意識の変遷を、自然保護運動を担った活動家、思想家、作家達、そして、行政官、政治家の群像を通して問い直す。1872年、世界に先駆けて誕生したイエローストーン国立公園から21世紀の現在までの、政治・歴史・文化・自然・環境にまたがる複合領域をカバーして展開する、ユニークなアメリカ近現代史である。
目次
序章 国立公園との出会い
第1章 公園とは何か
第2章 アメリカの国立公園の誕生(1832~1889)
第3章 ジョン・ミューアと国立公園(1890~1914)
第4章 国立公園の発展(1915~1961)
第5章 国立公園を守る
第6章 環境の時代(1962~)
著者等紹介
上岡克己[カミオカカツミ]
1950年高知県生まれ。東京大学文学部英文科卒業。同大学院修士課程修了。現在高知大学人文学部教授。専門はアメリカの環境文学と環境文化で、特にソロー、ミューア、カーソンを研究対象とする
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感想・レビュー
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kure
1
数多く存在する国立公園を中心軸に据えてアメリカの自然保護運動の歴史を論じた環境史の通史。単なる思想史にとどまらず、学際的な観点からアメリカの国立公園について平易な文体で論じており、強くお勧めできる一冊である。2021/08/23
しまゆう
0
アメリカの国立公園史が、市民による保護運動と政策がどのようにバランスをとって進んできたか、設立黎明期から現在に至るまで、豊富な事例をもとに書かれた本。本書を読んでみて改めてH.D.ソローの先見性に感心した。アメリカにとって、自分の帰属を「Wilderness」に求めるが故に、更にナショナリズムが強い国だからこそ、市民運動が活発化していったのだなと知ることが出来て勉強になった。翻って日本の国立公園との比較のためにも色々ヒントを得るきっかけになった。2016/02/23