出版社内容情報
体長8センチ、体重18グラム。クリッとした黒目にふさふさの毛。数千万年前から日本の森に住み、『不思議の国のアリス』にも「ねむりネズミ」として登場するヤマネとは、いったいどんな生き物なのか。
食べ物、行動、繁殖、子育て、冬眠……謎に満ちたヤマネの生活をユーモアたっぷりに紹介する。
かわいいヤマネの写真満載。
【書評再録】
●毎日新聞評(2000年11月1日)=ヤマネのナゾに包まれた生活をユーモアたっぷりに紹介。小さなヤマネの大きな知恵を面白く語る。
●岳人評(2000年12月号)=本書は日本特産種の国の天然記念物、ニホンヤマネのかわいらしさ、不思議さ、たくましさ、おもしろさを知ってもらいたいとして著したもの。小学校教師をしながらヤマネ研究を続ける著者の、この小動物への思いをこめた1冊である。ヤマネのことがよく分かる内容。
【読者の声】
■男性(43歳)=生徒たちは写真を見ながら「カワイイ」「うちの裏山にもいるよ」などと、さまざまな会話を交わしています。自然について考える良いきっかけになっています。
■女性(27歳)=専門的な内容なのに、堅苦しいところは1つもなく、知識のない私でも楽しくわかりやすく読むことができました。今年1番の、価値ある1冊です。
■女性(21歳)=「かわいい」だけの本なのかと思っていました。実際に読んでみると、その内容の豊かさに驚き、生徒にもぜひ読んでもらいたいと思いました。
■女性(17歳)=ヤマネブリッジなどの工夫でヤマネが暮らしやすくなるなど、人間との共生の話は興味深かったです。そしてこの本はヤマネがただかわいいだけでなく、たくましい野生をもった動物であることを教えてくれました。
■女性(28歳)=大好きなヤマネについていろんなことが知ることができて勉強になりました。写真集はいろいろ出ているけど、こんなふうな本は今までになかったと思います。大変ためになりました。
■女性(25歳)=本を読んで、ヤマネのことを知れば知るほど興味が高まりました。ヤマネを守ることが自然を守ることに結局はつながり、自然のしくみってよくできているものだと感じました。
【内容紹介】「本文」より
「ヤマネって知っていますか?」と前に座っているタクシーの運転手さんに聞くと、「おっ、川にいるヤマメのことだろう」とか「九州のヤマネコだ」とか「タヌキのような動物だったかな」などという答えが戻ってきます。ここは、東京の街の中。でも、大阪や九州で尋ねても、返事は同様です。10人に聞いても9人は知りません。つまり、日本特産で、日本に1種類しかなく、国指定の天然記念物で、レッドデータリストの準絶滅危惧種であるヤマネを知る日本人は少ないのです。
ヤマネは、リスやネズミと同じ齧歯類で、目がくりっと大きくてかわいい動物です。ネズミと異なるのは、しっぽにふさふさとした毛が生え、背中には1本の黒い筋がきりっとあること。体重は18グラムほどで、鶏卵50グラムの半分もありません。ヤマネの暮らしている場所は、森の木の上で、夜行性です。口からお尻までの長さが8センチと小さいので、かりに自分の家の裏山に住んでいてもわからないのです。
ヤマネは、冬になると、体を毛糸のボール玉のようにして冬眠します。そんなヤマネに向かって「起きろ!」と大声で叫んでも動きません。丸いまんまです。
世界には26種類ほどのヤマネの仲間が、ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、中央アジア、中国、そして日本に生息しています。「シマウマ」が“縞のあるウマ”であるように、名前はその特性を表すことがあります。ロシアでは、ヤマネのことを「ソーニャ」といいます。かわいい美人を想わせる名前ですが、意味は「ねぼすけ」です。ドイツでは、ジーベンシュレーファーといい、意味は「よく眠るもの」。イギリスでは、ドゥーマウスといい、「ねぼすけなネズミ」の意味で、『不思議の国のアリス』の物語の中でも「ぼうし屋」や「三月ウサギ」にクッションがわりにされても、熱い紅茶をかけられても、ポットにつめこまれそうになっても、平気で眠っています。日本では漢字で「冬眠鼠」と書きます。このように世界中の人びとが、ヤマネのことを「ねぼすけ」と思っているようです。
【主要目次】
ヤマネって知ってる?/樹上生活に適応した体/ヤマネの結婚/樹上生活者としての成長プロセス/ヤマネ語ってあるのかな?/日本語で話すニホンヤマネと外国語のヤマネ/生態調査地を求めて/小さなヤマネの広い行動域/家を持たない放浪者/繁殖の始まり--ヤマネにも交尾栓が!/育児用の複数の巣/巣材の種類/出産、そして、寿命/夜の樹上行動/ヤマネの食べ物/森でヤマネの声を確認する/夜の行動パターンと植生/地域によって異なる出産シーズン/巣からヤマネ文化をのぞいてみれば/森の知恵者ヤマネ/どこだ、ヤマネの冬眠場所は?/ねぼすけヤマネの冬眠戦略/世界のヤマネと比べてみよう--ヨーロッパ、ヤマネ訪問記/ヤマネ国際学会紀行 in トルコ/民話にみるヤマネと人との関係/守ることは知ることから始まる--山梨県ヤマネ生息調査から/研究から保護のステップへ/やまねミュージアムに行こう!/ヤマネと自然のために働く人々
内容説明
体長8センチ、体重18グラム。クリッとした黒目にふさふさの毛。はるか昔から日本の森に暮らすヤマネの謎にみちた生活をユーモアたっぷりに紹介。
目次
ヤマネって知ってる?
樹上生活に適応した体
ヤマネの結婚
樹上生活者としての成長プロセス
ヤマネ語ってあるのかな?
日本語で話すニホンヤマネと外国語のヤマネ
生態調査地を求めて
小さなヤマネの広い行動域
家を持たない放浪者
繁殖の始まり―ヤマネにも交尾栓が!〔ほか〕