出版社内容情報
なぜ、いま屋上緑化、壁面緑化なのか。その具体的なメリットをコンパクトに解説。
21世紀型「環境共生建築」を実現するためのマニュアル本。
建築家、建設・不動産会社、造園関係者から行政の住環境整備担当者まで必携の書。
【書評再録】
★防水ジャーナル評(2000年11月号)=「園芸ファン」の立場で本書を読むと、緑化の数多いメリットを享受できるわけで、実に面白いこと受け合いである。
★月刊環境共生住宅評(2000年12月号)=本書は、建築業界そして市民、地球を救うバイブルである。
【読者の声】
■女性(55歳)=この夏、自宅の屋上を緑化しました。体験した上で本書を読みましたので、参考になった点、誇張されて書かれている点、いろいろおもしろく拝読しました。これからもっと知りたいことの手がかりになる資料、ヒントがたくさん掲載されており、入手してよかったと思います。
【内容紹介】本書「まえがき」より
21世紀に向かって建築の世界も根底から変わろうとしている。
「自然と共生する建築へ--」。いわゆる自然建築(ナチュラル・アーキテクチャー)。「環境共生」と呼ばれる方向へ世界の建築思想は大きく向かっているのだ。“緑の建築”へのトレンドである。
「東京は、緑化すれば4℃下がります!」
東北大学工学部の斎藤武雄教授は明快に言い切った。
都市の熱化(ヒートアイランド現象)の世界的な権威。同教授は、コンピュータによるシミュレーションで、東京を47%緑化すれば、真夏の猛暑でも4℃気温が下がることを実証したのである。
いまも地球温暖化の進行を、真夏のジリジリと灼きつく日照りに実感する。
「東京は亜熱帯……」。これは2000年7月29日、「毎日新聞」の一面見出し。この夏、東京の真夏日は過去最多のペースで急増。炎天下の東京の街を歩くとアスファルトからの猛烈な照り返しに眩暈がする。
緑化のシンボルが、屋上緑化である。
その効果は驚異的だ。むろん灼熱都市(ヒートアイランド)を涼しくすることは、その1つにすぎない。
まず断熱効果。建物は“緑の覆い”をまとう。そのため夏涼しく、冬暖かい。とうぜん冷暖房コストは、はるかに節約できる。30坪のマンションなら一夏で、クーラー代6万円浮く。冬の暖房費も大幅コストダウン。年10万円以上の節約になるはずだ。オフィスも約2~3割冷房費削減。不況の昨今、これは経営者にとっても朗報だ。東京都239のビル群の陸屋根50%を屋上緑化しただけで、夏場は100億円冷房費が浮く。壁面緑化で120億円。あわせて一夏、220億円のおつりがくる計算。これは原発2基分の電力に相当する。日本全国の都市、建築緑化で原発25基分が不要になる。都市を緑化すれば、原発もいらなくなるのだ。
屋上緑化等は大気汚染も浄化する。植物には二酸化チッソなど大気汚染の有毒物質を吸着、分解する作用がある。さらに激増する肺ガンの元凶ディーゼル粉塵から、鉛、CO2まで吸収してくれる。
さらに、驚嘆すべきは建物の長寿命化。「築18年でもコンクリート面は施工時とまったく同じ」という“奇跡”もじっさい確認されている。
さらに緑化層による雨水の保水。都内のビル屋上50%を屋上緑化すると124万トンもの保水能力となる。まさに都内に巨大な“貯水ダム”が出現するのだ。これは集中豪雨による都市洪水の防止に大きなはたらきをする。緑化は都市の気象を変えてしまう。微気象(マイクロ・クライメット)と呼ばれる。温度や湿度はしのぎやすく、雨上がりに霧と虹が立つ幻想的な風景が楽しめるだろう。
水質浄化。屋上緑化の土壌に生活排水を通せば、水は浄化され中水としてリサイクル利用も可能になる。生態圏の復活。さまざまな鳥や蝶、昆虫が飛び交い、自然がよみがえる。屋上緑化した都心ビルに19種の野鳥、16種の蝶々がやってくるようになった例も。こうして屋上緑化は癒し空間となる。「緑で安らぐ」ことは様々な実験でも実証されている。都会人のイライラも、緑によって癒される。小学校の屋上を緑化して草花を咲かせれば、子どもたちには原っぱとしての遊び場、自然観察の場となる。さらに病院、老人ホームなど屋上緑化すれば、どんなに患者さんやお年よりは心を慰められるだろう。
菜園都市(ビオシティ)へ。屋上に菜園、花壇、果樹園を作れば、毎日食卓に新鮮な野菜、果物さらに草花と自然の恵みをいただける。それは農村と都市が共生する新しい未来都市のイメージである。さらに緑化には「騒音の軽減」「火災の延焼防止」などなど、あげきれないほどのメリットがある。
東京都は2000年4月から、新築ビル屋上の緑化を義務化した。杉並区はふつうの住宅にも緑化を義務化。建設省は、緑を取り入れた「環境共生型」集合住宅を積極的に支援している。また「グリーン庁舎構想」を打ち出し、屋上、壁面を緑化した神戸、シャルレ本社ビルを理想のベストモデルとして選定した。
日本の政府も、緑を志向しはじめた。
東京タワーから見下ろすがいい。地平の果てまでの一面灰色のビル屋上群。想像して欲しい。それが地平まで緑に変貌した光景を……。そのとき東京は緑の沃野と化す。日本中の都市も、鮮烈な緑に輝く都市として再生するだろう。
その未来へのマニュアルが本書である。ページを繰ってほしい。
【主要目次】
▲▲第1章 都市を緑の沃野に=温暖化の破局---大干ばつ、飢饉、洪水、都市熱波/ヒートアイランド(都市熱化)---樹を植え、屋上緑化で涼しい夏を/“森”ビル---緑と土と水と……究極の危機管理ビル/ビオシティ---“森”ビルから「菜園都市」構想へ/緑へのトレンド---世界の建築は緑をめざす/屋上緑化10のメリット---近未来の建築はこれだけ素晴らしい/屋上緑化の父---四半世紀前から21世紀型住宅を作ってきた/安藤忠雄の軌跡---震災を機に都市緑化を提唱
▲▲第2章 熱い夏もクールダウン=緑の効用---生きている植物に触れる/微気象(マイクロ・クライメット)---屋上緑化は、気候も変える/壁面緑化---壁を緑で覆えば15℃も涼しい!/屋上・壁面ダブル緑化---「温暖化」衝撃、都市熱化を防ぐ/クールダウン都市の緑を増やすだけで……/お金も助かる---200億~300億円の節約効果!/原発2基分---東京を屋上緑化するだけで/省エネ効果---夏はクールに、冬はポカポカ/照り返し---太陽の反射も壁面緑化でやさしく/“天然クーラー”---温度ひんやり、緑の蒸散作用
▲▲第3章 緑、水、空気、食糧……緑化の数多いメリット=大気浄化---大気汚染をクリーンにする素晴らしい機能/CO2吸収---増加量の三分の一吸収、温暖化にブレーキ/そのうえに---チッソ酸化物、ディーゼル粉塵、鉛まで/建物をまもる---劣化するビル、住宅をまもるベスト方法/“緑の保護層”---コンクリート危機、短命住宅を救う道/雨水の保水---緑は集中豪雨もドンと受け止める/騒音が消えた!---屋上と壁面の緑化で静かな街に/安らぎ感---緑によるリラックス、落ち着き/ストレス解消---緑を見るだけでもホッとする/能率アップ---緑は作業効率をグンとあげる/アロマテラピー---植物の香りには、癒しの効果あり/園芸療法---植物のケアは、じつは心と体のケア/なごむねぇ---殺風景な都市より緑があったほうが/鳥たちよ!---さえずりが戻ってきた/延焼実験---一軒の家に火をつけて……/防火・防災---あなたのたいせつな家族をまもる壁面緑化/巨大地震---発生を予想される数々の前兆
▲▲第4章 なんと快適! 屋上菜園生活=屋上菜園---見よ! 5坪の野菜たちの実りを/屋上果樹園---大都会で目と味覚を満たす悦楽/これぞ“屋上農場”---マンションの上で農を愉しむ/NEXT21---大阪ガス(株)がチャレンジ“緑の未来住宅”/エコヴィレッジ日野---わが国、究極のエコロジーマンション/けやきひろば---大胆不敵、都市をケヤキの森で埋めつくす/シャルレ・ビル---壁一面、緑で覆われたオフィスビル/すぐ、できる---どんな家でも、どんなビルでも/クーラーいらず---壁面緑化のベストメリット/高層ビルも---いろんな工夫で壁面緑化は可能/森をつくる---「建物に外観はいらない」(石井修)/屋上緑化(株)スタート---ふつうの市民が緑の会社をつくった!
▲▲第5章 屋上緑化の最新テクノロジー=緑化の2方式---「自然式」と「庭園式」の2つあり/工法は?---コンクリート面に直接土を置く方式まで/防根、防水、透水---基本は「根」と「水」への対策である/潅水(水やり)---あるがまま「自然式」なら水やり不要/マルチング材---土壌表面を覆い保護する素材/傾斜屋根---もちろん、屋上緑化できます/防水---すでに技術は完成、心配なし/緑のメーカーたち---こんなにある! 緑の企業、緑の技術/ルーフ・グリーン---新日軽の「防水一体型」システム/“緑のドクター”---緑化の総合メーカー、東邦レオの新技術/エクセロ・フロー---厚み約4センチ! 超軽量で緑化OK/アクアソイル---都市に不変の“人工の大地”をつくる/KANSO---今後、屋上緑化に力を入れていく/2、3日で!---特殊マットを敷き詰めできあがり/芝生緑化---ユニット式天然芝生で屋上緑化/雨水のパイオニア---100%「水道水はいらない!」/「軽石」屋上緑化法---臼井さん開発の緑化法は超シンプル
▲▲第6章 実現へのハードル=危機管理の思想---自然災害や地球環境問題に備える/都の英断---新築ビル屋上20%を緑化せよ/宅地にもっと緑を!---杉並区の新しい街づくり/「緑の公共事業」---クニや行政はどれだけバックアップ?/融資は?---屋上緑化にどれだけカネを貸してくれる/グリーン庁舎を!---政府も推進「緑の公共施設」プロジェクト/自治体は---「やる気あり」が6割、「消極的」が4割
▲▲第7章 共生と癒しの建築へ=ポストモダン崩壊---死(解脱)に至る渾沌のニヒリズム/完全に欠落していた---「環境」「災害」の視点/超粗大ごみ---“バブルの塔”と“ガラスの恐竜”/ピラミッド型支配---権威主義と堕落の構図/「現代建築」批判---地震で自信喪失“ポストモダン”建築家/危ないコンクリート建築---ネズミ93%が死んだ!/「健康住宅研究会」---政府主導で急遽スタートしたが/国も動き出した---「破壊型」から「環境共生型」に大転換/ようやく……---5省庁、シックハウス対策へ/コスト論---結局「環境共生住宅」は安くつく/癒しの建築---水の文明、21世紀の建築は人の魂をも癒す
内容説明
なぜ、いま屋上緑化、壁面緑化なのか。その具体的なメリットをコンパクトに解説。建築家、建設・不動産会社・造園関係者から行政の住環境整備担当者まで必携。21世紀型「環境共生建築」ハンドブック。
目次
第1章 都市を緑の沃野に
第2章 熱い夏もクールダウン
第3章 緑、水、空気、食糧…緑化の数多いメリット
第4章 なんと快適!屋上菜園生活
第5章 屋上緑化の最新テクノロジー
第6章 実現へのハードル
第7章 共生と癒しの建築へ
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