砂漠のキャデラック―アメリカの水資源開発

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砂漠のキャデラック―アメリカの水資源開発

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  • サイズ A5判/ページ数 579,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784806711858
  • NDC分類 517
  • Cコード C0036

出版社内容情報

アメリカの現代史を公共事業、水利権、官僚組織と政治、経済破綻の物語として描いた傑作ノンフィクション。
10年以上の調査をもとに、アメリカの公共事業の100年におよんだ構造的問題を描き、その政策を大転換させた大著。
全米各紙誌、絶讃の話題書。

【書評再録】
●日本経済新聞評(1999年11月28日)=米国の事例だが、読み進むとともに、書かれていることは決して海の向こうのことではない、ことを多くの読者は感じ取るだろう。日本の水資源開発のあり方を考え直す手がかりになる。
●読売新聞評(1999年10月25日)=米国のダム開発の歴史を丹念に追い、政治的利益のためにダムが造られていった過程を描いている。
●アウトドア評(2000年1月号)=あのレイチェル・カーソンの名著「沈黙の春」以来、アメリカで最も影響力のある書として、各方面からさまざまな賞賛を得た話題の本である。全米でセンセーショナルな反響を巻き起こし、合衆国政府が大きな政策転換を迫られるきっかけとなったものでもある。
●サンフランシスコ・エグザミナー評=「沈黙の春」以来、もっとも影響力のある環境問題の本。
●ニューヨーク・タイムズ評=意味深く、面白く、時に愉快で、そして恐るべき報告。
●ロンドン・オブザーバー評=今年最大の収穫。
●ワシントン・ポスト評=国民的重要性を持つ本。西部の河川のダム建設、分水、汚染をきわめて批判的に、すばらしく面白く描いた作品。
●シカゴ・トリビューン評=人目を引かずにはおかない警告の書。政府官僚は本書を読むべきだ。
●クリスチャン・サイエンス・モニター評=環境保護主義者、そしてまたすべての水政策に関心を持つ者だけでなく、政治指導者にも広く読まれるべきである。本書を読んだ後、水の重要性に無関心ではいられない。

【内容紹介】本書「訳者あとがき」より
 1993年は、アメリカの河川政策が大きく変動した年であった。
 この年、ミシシッピ川流域で大規模な洪水が発生し、甚大な被害をもたらした。
 この洪水を分析した陸軍工兵隊は、ダム、堤防などの洪水調節用構造物は、予想を超えた洪水の際には役に立たないばかりか、洪水の被害を増大させることさえあるという結論に達した。工兵隊は、従来の構造物による洪水調節から、氾濫原の回復、避難プログラムの作成、氾濫原での土地利用の制限、洪水保険の奨励など、総合的な洪水対策へと転換せざるを得なくなった。
 一方、開墾局では、クリントン大統領の任命で、ダニエル・P・ビアードが総裁の職に就いていた。ビアードは翌1994年にブルガリアで開催された「国際かんがい排水委員会」での講演の中で、歴史に残る宣言をした。
「アメリカ合衆国においてダムの時代は終わった」
 世界最大の技術集団が、もはやダムを造ることはないというのだ。ビアードは1995年、96年に来日して同旨の講演を行い、「ダムの時代の終焉は、アメリカのみならず世界の趨勢である」と述べている。
 したがって本書は、一世紀にわたる「ダムの時代」の総括の書といえるだろう。本書の末尾で「アメリカ西部は、いつか、おそらく私の生きている間に、過去への前進を止め、未来へ向かって後退を始めるだろう」と予言しているが、それは思ったより早く訪れたようだ。アメリカではダム建設を止めたばかりか、現在あるダムを撤去する動きまで始まっている。
 しかし本書の価値は、環境問題、政治問題の告発の書としてだけでなく、「水」を切り口とする20世紀アメリカ史の一断面、水をめぐるアメリカ西部の精神史と政治史を余すところなく書き上げたことにもあるだろう。そこには、外交、軍事、経済などの側面から見慣れたアメリカとは、また別の姿がある。「民主党=リベラル=福祉国家」「共和党=保守=小さな政府」という固定観念は、水資源開発の「大義」の前には完全に打ち砕かれる。

 ダムの功罪については議論があるにしても、それは一応、科学的根拠に基づいて経済的利益のために建設されていると広く信じられている。そのため、ダムの賛否は、人間の利益か自然保護かという議論に陥りがちだ。だが、本書を読むと、ダム建設が幻想に基づいて政治的利益のために行なわれていることがよくわかる。このような異様な行為が、これほど大規模に白昼堂々行なわれていることには、ただ唖然とするばかりだ。だが、これは一方で、日本での現実でもある。事業の正当化のために費用や損失を過小評価し、便益を過大評価する。ありもしない水需要を根拠に事業を行なう。実際には供給できない水量を約束する。事業の目的を偽り、すり替え、恣意的に変更する。反対する住民に様々な圧力を加える……。本書を訳しながら、日本のことを記述してあるかのような錯覚に、訳者は一度ならず囚われた。
 本書がきっかけとなって、アメリカの公共事業政策は変わった。日本が未来への後退を始められるのか、これからも過去へと前進を続けるのか、我々はその岐路に立たされているのかもしれない。

【主要目次】
序章 砂漠の心を持つ半砂漠/幻影の地/赤の女王/原動力/アメリカのナイル川(その1)/ダムの時代/縄張り争い/ドミニィ/アメリカのナイル川(その2)/カーター、ポークバレルに挑む/悪夢のカリフォルニア/学ばざる者たち/幻想の崩壊/終章 文明の行方

内容説明

アメリカ現代史を公共事業、水利権、官僚組織と政治、経済破綻の物語として描いた傑作ノンフィクション。10年以上の調査をもとに、アメリカの公共事業の100年におよんだ構造的問題を描き、全米でセンセーショナルな反響をまきおこした調査リポート。

目次

砂漠の心を持つ半砂漠
幻影の地
赤の女王
原動力
アメリカのナイル川
ダムの時代
縄張り争い
ドミニィ
カーター、ポークバレルに挑む
悪夢のカリフォルニア
学ばざる者たち
幻想の崩壊
文明の行方

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かっぱ

5
少し前から話題の、パオロ・バチガルピ「神の水」の元ネタになった本。(「神の水」の中にも、重要な意味を持って登場)。ノンフィクションなのだけど、水を巡る大河物語小説にも思える本で、そういう視点で読むと、上橋菜穂子とか好きな人にも面白いかも。現物の本をみると、厚さに圧倒されますけど、わりと読みやすいです。2016/01/13

unknown

3
パオロ・バチガルピ『神の水』の種本。大雑把に言ってしまえば、アメリカの河川の成り立ち、水利権をめぐる仁義なき官僚パワーゲーム、そしてダム建設事業の理想と破綻が二段組600ページにわたり書かれた大著。まさに情報量の洪水。歯応えのある内容です。2015/11/06

mike_sugino

0
先日読んだ「神の水」で、西海岸で水資源開発に関わる者にとっては旧約聖書に値すると表現され、何度も登場したので図書館で借りたけど期限までに読み終わらなかったので未評価とします。でも、映画「レヴェナント」でも登場したトラッパー時代から川を遡る人々を描き、映画「マルホランド・ドライブ」の通りの名前となったロサンゼルスの水道公社長だったマルホランドの違法スレスレの活躍も知れたので面白かったわ。2017/04/10

相馬

0
20年前の少々古い内容ではあるが、バチガルビ「神の水」の元、ということで。地名が頻出するので地図帳を見ながらだし、2段組600ページの翻訳大著なので、読了するのに丸々1週間かかった。常々砂漠のカルフォルニアやラスベガスで水使い放題なのが疑問だったけど、アメリカの開拓に掛ける情熱、選挙対策、民主主義のシステムが少し理解できた。陸軍工兵隊が河川の浚渫、運行、治水を担当しているのにも驚く。そう言えばカトリーナの時出動したのも工兵隊だった。でも、そんなアメリカも今や脱ダムなんだよなあ。2016/01/31

ミッキー

0
アメリカ開拓する上での水資源の位置づけを理解出来ました。必要な開発の陰には強引な施策があることも。成熟した社会になる為の通過点が伺えて興味深かったです。2018/05/07

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