熱帯林ってなんだ―開発・環境と人びとのくらし

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  • サイズ B6判/ページ数 162p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784806710882
  • NDC分類 653.29
  • Cコード C0026

出版社内容情報

中学生から大人まで、「地球規模の問題」を正しく理解するための決定版テキストブック。
休暇のたびに、赤道ボルネオを訪ね歩いた著者が、熱帯林と、そこに暮らす人びとを通して、たくさんのことを学んでいく。
日本で考えてもわからなかった「開発」「援助」「環境」「人権」などの問題のほんとうの姿を、私たちの目線の高さで描ききる。

【書評再録】
●朝日新聞評(1991年12月14日)=生命力が旺盛に見える熱帯林は、じつは危うい生態系の上に、かろうじて成り立っている。その貴重さと重要性が、だれにでも読みやすいように、やさしく解説されている。
●ユネスコ評(1992年4月号)=従来の定説を覆す事実を次々と明らかにし、古来の伝統にしたがった農法について細かく報告している。読みやすい平易な文章の中に、自然を愛する著者の姿勢が感じられる好著である。
●教育新聞評=小学生からおとなまで、楽しみながら地球環境を考えるのにうってつけである。

【読者の声】
■第38回青少年読書感想文全国コンクール入選作品より(1993年)=自分の生活を見直すことで、本当の豊かさは何なのかを感じさせてくれたのが、この本です。そして、これからは今以上に環境問題に興味をもって、自分のできる範囲の努力はしていきたいと思っています。

【内容紹介】本書「はじめに」より
 朝日新聞の朝刊に掲載された一つの記事が目にとまりました。タイのバンコクの特派員から送られてきたその記事は、「アジアで熱帯林の急速な減少のために土砂崩れや洪水が年々、大規模になり、人びとの生活を脅かしている」という内容のものでした。
 この記事が日本の社会にただちに大きな衝撃を与えたり、国民の関心を呼び起こすということはありませんでした。が、私はどうしてもそのままやりすごすことができないような素朴な疑問にかられました。
「『ジャングル』とよばれ、背丈が4、50メートルもの大木が生い茂る熱帯林はまさに生命力のかたまりで強靱な神経の持ち主であり、切っても切ってもあとからどんどん木がはえてくるはずだし、どうしてそのようなことが起こるのだろうか」
「木を切ったあとに植林するはずだし、どうしてそのようなことが……」
 正直な話、それまで木や森林に特別な関心や興味をいだいたことはなく、知識もありませんでしたし、もともと自然科学が苦手なせいか、「熱帯林」と聞いて浮かんでくるイメージといったら、せいぜい子どものころによく見たターザン映画のなかの数場面でした。
 こうしたきわめて素朴な疑問とともに、うまく説明できませんが、当時の私にはこの一見、何の変哲もない、3段組みの新聞記事に何かとても「重大なメッセージ」がふくまれているように思えてなりませんでした。
 図書館などで片っ端から資料を探してみましたが、当時、熱帯林に関する本はいずれも「林業」や「生態学」といった難解な専門書ばかりであり、また日本の自然・環境保護の市民運動が取り組んでいるのは国内の問題だけで、結局、何もわかりませんでした。
 しかたなくスイスのジュネーブにある国際自然保護連合やパンダの保護活動でたまたま知っていた世界野生生物基金(その後、世界自然保護基金と改称)などに「熱帯林の問題についての資料を送ってほしい」と手紙を書きました。二週間後、膨大な資料が届きました。その英文資料に「熱帯林は地球上でいちばんもろく、こわれやすい生態系である」と書かれており、思わず目を見張らされました。
 やはり私と同様に熱帯林の問題が気になっていた仲間と市民学習グループ「アジアの熱帯林を考える会」をつくり、勉強をはじめました。そして、まもなく、熱帯林の本当の姿は、私たちが学校で教わったり、映画やテレビで見て知っているのとはまるっきりちがうことを知ったのです。長年、常識と思い、思いこまされ、疑いさえしなかったことが根底からくつがえされ、生涯でこれほどショッキングな出来事はありませんでした。
「熱帯林がどうなっているのか、そこでいったいどんな問題が起こっているのか、じっさいに自分で見て、聞いて、確かめてこよう」
 世界最古の熱帯林が茂り、熱帯林の伐採がとくにひどいといわれる東南アジアのボルネオ島を訪ねることにしました。そうしてできたのがこの本です。
 私たちが、ふだんの生活のなかで、どのようにして、環境問題を理解したらよいのか、その問題を見つめる「視点」の大切さについて私なりに気がついたことを書いたつもりです。
 おとなから子どもまで、この本によって、世界のこと、日本のことを、いままでとはちがった見方で見ることができるようになってくだされば、と願っています。

【主要目次】
▲▲第1章・ロングハウスかいまみ記
   ボルネオ島へ/ショウのロングハウス/ロングハウスの生活/自然にやさしい焼き畑農業/木材の伐採現場へ/楽しい結納パーティー/ジャングルの食事/川での沐浴/町に出ていく若者たち/木材企業の進出/国の経済を支える熱帯林/闘鶏と白いポール/蚊と病気/ロックと精霊信仰/焼き畑農業のしくみ/ジャングルの中の「ニッポン」/クダクダ(人馬)
▲▲第2章・熱帯林ってなんだ
   現状/熱帯林の特徴と役割/森がスーパーマーケット/森の生態系/減少と破壊の原因/植林/地球的な問題
▲▲第3章・地球的規模の問題と私たち
   人間らしく暮らすために/GNPでははかれない「豊かさ」/私がボルネオ島で学んだこと/私たちと地球的規模の問題

内容説明

休暇のたびに、赤道の島ボルネオを訪ね歩いた著者が、熱帯林と、そこに暮らす人びとを通して、たくさんのことを学んでゆく。日本で考えてもわからなかった「開発」、「援助」、「環境」、「人権」などの問題のほんとうのすがたを、わたしたちの目線の高さで鮮やかに描ききる。

目次

1 ロングハウスかいまみ記(ボルネオ島へ;ショウのロングハウス;自然にやさしい焼き畑農業;ジャングルの食事 ほか)
2 熱帯林ってなんだ(熱帯林の特徴と役割;森がスーパーマーケット;森の生態系 ほか)
3 地球的規模の問題と私たち(人間らしく暮らすために;GNPでははかれない「豊かさ」;私がボルネオ島で学んだこと;私たちと地球的規模の問題)

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