出版社内容情報
太古の海……現在の海……今もって多くの謎を秘めている「海」のすべてを、世界的な海洋地質学者であるアンデル教授が、永年の海洋・海底の調査研究を通じて、海と生物、海と資源、海と人間、海と地球環境など、一般読者にもわかるようにやさしく解説する。
専門化・細分化されてしまった「海の科学」を総合的にとらえた唯一の書。
【書評再録】
●科学評(1994年11月号)=海について総合的に解説した読み物である。各分野を個別に紹介するのではなく、さまざまな話題について新しい成果を織り交ぜながら著者の言葉で語りかけるように紹介している。
【内容紹介】本書「訳者まえがき」より
地球環境危機の問題が世界的に叫ばれて以来久しい。私たち人間の絶え間ない活動は、私たち自身が住む地球の環境をどのように変えていくのだろうか。私たちの現代社会が生まれる前にはどうであったのだろうか。長大な時間尺度でみると、造山運動や火山活動、新しい海や大陸の誕生、古いそれらの消滅を通じての地球上の海と大陸の変遷、それにともなう気候の変化、生物の変化などがくり返されてきた。現在や未来はまさにその延長線上にある。
地球の自然環境というとき、表面の約70%を占める海の存在は、あまりにも大きな役割を果たしている。過去でもそうでありつづけた。海は、また私たちにとって、重要な食物を提供してくれる場でもある。人間社会の活動がどのように地球環境に影響を与えるかを考えるとき、私たちはいや応なく、地球の自然史を知っておく必要に迫られる。とくに、まだ謎にはあふれているが、海が地球史を通じてどのようにふるまって現在に至ってきたか、をである。
本書「海の自然史」はアンデル教授によって書かれた。同教授は、海洋地球科学の分野における世界的な先駆者の一人として、かつ卓抜な指導的科学者として広く知られている。そして、若い時代から地球環境の問題、海と社会との関係についてのさまざまな問題に対して大きな関心を抱きながら教育・研究を進めてきた。同教授の非常に豊富な、幅広い識見と洞察を背景として、主として成人教育・普及を目的として書かれたのが本書である。
地球史を通じて無機界から有機界にわたり総合的に検討した、このようなスタイルの類書は現在までほとんど出版されていない。さらに、気候変動史とその社会的影響の問題は、現在世界的な重要課題である地球環境の問題を考えるうえに、必読の基礎となるものである。
【主要目次】
▲▲序・海の謎をしらべる
海洋学の歴史の要約/海洋科学の現状
▲▲第1章・はじまりの痕跡なく、終わりの見通しなし
いくつかの謎と矛盾/決定的な新しい観察/プレートテクトニクスの概念/プレートテクトニクスの重要さ/地質学の革命
▲▲第2章・ほのかに読みとれる海の変遷のようす
太古の海洋の復元/彷徨する海岸線/海流/海洋循環の歴史/海洋の深層海水/底層水、炭酸カルシウム、そして生物/海洋における深層循環の起源/太古と近未来の雪線/海水の起源と、時代を通じての海水の恒常性
▲▲第3章・海中における生物の乱舞
海から得られる食糧/世界の魚資源の供給を増やすことができるか?/海洋生物に反映された海洋循環/海洋生物における大異変
▲▲第4章・いつも冬にはスケートができた祖父の時代
気候と海洋/太古の気候変動/最終氷期/気候と歴史/気候変動の社会的影響/現在と将来の気候---論争と混乱
▲▲第5章・塩からい海の上昇と下降
海水準の変化/過去5000年間の海水準/塩、人、そして社会/塩の経済と海水準
▲▲第6章・宝物をさがす冒険
多すぎるくらいに存在する非生物資源/塩水と地下蒸溜所/マンガンノジュールの採取/海はだれのものか?
▲▲第7章・予測と、偶然を見のがさない洞察力
地殻から失われる熱/深海底の温泉/新しい海の化学/予期せずに発見された不思議な深海底生物
▲▲第8章・あらわれてくる自然の驚異
内容説明
海は地球表面の約70%を占めている。この広大な海の昨日、今日そして明日は?世界的な海洋地質学者・アンデル教授が、永年の海洋・海底の調査研究を通じて、海と生物、海と資源、海と人間、海と地球環境など、海のすべてを総合的に解説した。
目次
序 海の謎をしらべる
1 はじまりの痕跡なく、終わりの見通しなし
2 ほのかに読みとれる海の変遷のようす
3 海中における生物の乱舞
4 いつも冬にはスケートができた祖父の時代
5 塩からい海の上昇と下降
6 宝物をさがす冒険
7 予測と、偶然を見のがさない洞察力
8 あらわれてくる自然の驚異
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