感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
蒼
9
1982年に発行されたこの本が読書メーターに登録されていた事に驚くと同時に、ものすごく嬉しい。当時新聞の連載小説だったのだが、毎朝待ち焦がれて読んでいた自分の若さが気恥ずかしい。元禄の時代北の外れの地八戸で、ヤマセに被われ実らぬ作物に苦しみながら、それでも前向きに人の痛みを思いあいながら生き抜こうとする多賀以代と新井峰次郎。以代の弟惣八郎と小八郎の屈折した思いに、八戸藩を牛耳ろうとする者たちの思いが絡まって、その中から以代が掴み取る真実に心が震える。誰にも振り向いてもらえない物語が私の心に 息づいている。2018/08/10