内容説明
組織の論理で個人を押しつぶす特攻のメカニズムは、もしかすると現代のこの国にも通じているのではないか―第28回「平和・協同ジャーナリスト基金賞」奨励賞受賞。
目次
第1章 帰還者の伝言
第2章 勇士の反逆
第3章 帰還者の隔離棟
第4章 殴られた参謀
第5章 教官の出撃
第6章 司令官の戦後
第7章 記録作家の執念
第8章 記録作家が遺したもの
著者等紹介
加藤拓[カトウタク]
1981年4月、愛知県生まれ。東海高校、早稲田大政経学部経済学科卒。立教大大学院文学研究科(史学専攻)博士前期課程を修了後、2007年に中日新聞社入社。大学院では東京裁判研究の第一人者として知られる粟屋憲太郎名誉教授(1944~2019年)のもとでアジア・太平洋戦争を研究した。中日新聞社では東海本社報道部、岐阜県揖斐川通信部、名古屋本社地方部などを経て20年8月から読者センター。現在は発言欄を担当。22年12月、長期連載「ニュースを問う『特攻』のメカニズム」が第28回平和・協同ジャーナリスト基金賞の奨励賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののまる
7
いまの政治や企業の体質、部活動などなどと同じシステム。それが今も社員や若者や子どもを苦しめる。全然反省も改善してもない戦後だ。2024/02/21
東京には空がないというけれど・・・
5
ドラマ半沢直樹の中に出てくる「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」という言葉を思い出した。勝てない戦争を始め、戦況が悪化すると特攻作戦。海軍に遅れるなと陸軍も後を追う。その組織の論理の中で、犠牲になったのは若者たち。機体の不調、不時着などで戻ってくると、収容施設にぶち込まれ、早く死ぬようにと説教される。上官は、敗戦になると責任逃れをして生き延びる。「神」とあがめられた特攻隊員は、戦後は「特攻くずれ」と揶揄される。戦前の「組織」の問題性は、戦後も変わらず日本社会に脈々と生き続けている、と指摘。2025/05/28
onepei
2
司令官の戦後の章に考えさせられた2023/09/03