内容説明
小説の中には、必ず突出した、そして読後いつまでも心に残る「名場面」がある。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、夏目漱石『こころ』、井伏鱒二『屋根の上のサワン』、坂口安吾『文学のふるさと』など20作品の名場面を通して、無数の人間の悦び、怒り、哀しみ、迷い、憎しみ、愛を味わう。人間がいとおしく思える一冊。
目次
第1章 子どもたちの感情体験(はじまりとしての不安―新美南吉『狐』;友と別れの軌道を行く―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 ほか)
第2章 それぞれの青春(決定的な出来事が起きた―夏目漱石『こころ』;戦争に対する戦争―小川未明『野薔薇』 ほか)
第3章 ねばりづよく生きる(ここからはもう退けない―中野重治『村の家』;別な世界へゆく方法―萩原朔太郎『猫町』 ほか)
第4章 晩年の風景(思うようにはいかない―徳田秋声『死に親しむ』;かすかな鈴の音のつなぐ―松本清張『或る『小倉日記』伝』 ほか)
著者等紹介
高橋敏夫[タカハシトシオ]
文芸評論家、早稲田大学文学部・大学院教授。1952年4月3日香川県生まれ、東京で育つ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。学部学生時代より文芸評論家として活躍、のちに対象を映画、マンガ、音楽、演劇へとひろげ、同時代を意識した鋭い批評で知られる。大学では、「ホラー論」「怪物論」「戦争論」「マイナー文学論」などを講じ、学生アンケートで「早稲田で一番面白い授業」に選ばれるなど人気抜群(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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