内容説明
第一次世界大戦中発表した、戦時下の奇怪な事件を追う作品群。人心の惑乱と疑惑を背景に原因不明の奇妙な殺人が連続し、最後には、予想を絶した謎の解答があからさまになる恐怖幻想譚。
目次
恐怖
弓兵・戦争伝説
大いなる来復
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
22
「恐怖」「弓兵・戦争伝説」「大いなる来復」の三篇を収録。どれも第一次世界大戦中に書かれたもので、いずれの作品にも戦争が影を落としている。一番お勧めなのは何といっても「恐怖」。風説の広まり方とか、怪異が最後まで明らかにならず雰囲気だけが高まってくる部分とかがいい味を出している。「弓兵~」はイギリスナショナリズムが前面に出すぎていてそこが少々鼻につく。「大いなる来復」はウェールズの野に聖杯が顕現する話で神秘小説のような趣もあり一番マッケンらしい作品かもしれない。前二巻とは雰囲気が違うが、それでも十分楽しめた。2012/09/12
夜間飛行
3
田舎での恐るべき連続殺人事件は、対独戦争による報道管制が敷かれていることもあり、ありとあらゆる妄想を生み出す。変質者説、多重人格説、ドイツのスパイ説……だが、いずれの場合も人目につきやすい田園で、しかも遠距離の凶行をどうやって短期間に遂行したのかは、深い霧に包まれている。しかも多発する怪現象は一地方にとどまらず、全国的にドイツ人が潜伏しているという噂さえ囁かれる。このような謎の盛り上げ方はマッケン一流であり、斬新だ。そして恐怖と謎の根っこには、やはりマッケン独特の太古的野蛮と近代知性の対立が見え隠れする。2013/05/03
カンダタ27
0
夢の丘もいいがこちらも好き2013/04/14