内容説明
アルジェリア紛争に激動した1960年のパリ。戦後の熱い体験を生きた著者にとっても、それはひとつの時代の決着への喘ぎであった。その後の高度経済成長が破綻した現在、鎮魂の思いで描きだされる遙かな日々の記録は、読む者をして失なうことの苦い甘さを蘇えらせるだろう。
目次
プロローグに代えて―戦中・戦後・ぼく
寄港地で拾わされた二つの話
深夜パリ警察にパクられた話
一風も二風も変っているパシュ家の話
ウマ好きの梅田晴夫氏とウマが合った話
トロンシュ通りの下宿の優しかったマダムの話
パリの花嫁学校の話
田舎の貴族の館の話
またまたフランスのお婆さんの話
公園とは何かを探し求めたわけではない話
特別製の笑顔に渋い顔をさせられた話
忘れ去れないシャンソン酒場「地下牢」の話
長谷川一夫がフランス語をしゃべった話
エピローグに代えて―二人の恩師