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内容説明
滅びゆくケルトの民の透明な哀しみ。ケルト文芸復興運動のなか、19世紀末のスコットランドで生まれた、詩情あふれるファンタジー短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かりさ
68
物語を彩る美しい情景たち、月夜にまばゆくさざ波の金と銀、身にまとう白い月光、ひそやかな火焰、露のすきまにきらめく星…マクラウドのケルト幻想に幽玄な調べをのせる松村みね子さんの訳、妖艶な東逸子さんの装画、完璧に美しい作品です。とりわけ「最後の晩餐」冒頭が美しいのです。《ふいと見た夢のように私は幾度もそれを思い出す。私はその思い出の来る心の青い谿そこを幾度となくのぞき見してみる。まばたきにも、虹のひかりにも、その思い出は消えてしまう。》松村みね子さん訳の織りなす美しき言葉の調べ。2019/05/17
紫陽花と雨
21
翻訳は大正時代、旧字体と仮名遣いで紡がれる美しい日本語を体感。「その聲は白いクローバーの花の上のあけ方の空氣の渦巻のやうであつた。」なんてステキな表現。読み慣れない「〜ゐた」なども読んでいくうちに馴染んでいくから不思議。ケルトの世界は残酷でありながら美しい。かなしき女王スカァアは美しいけれど怖い、笑い声が脳内に聞こえるようでした。また『魔法使いの嫁』の世界も思い浮かぶようでした。この話を翻訳した明治生まれの彼女も本當にすごいと思う。解説も興味深く、文豪たちが彼女に惹かれたのも分かる気がした。2018/03/21
花林糖
13
東逸子さんの表紙絵が目的で文庫版ではなくこちらで。残酷で美しい短篇12篇。松村みね子さんの訳文が美しいです。「海豹」「琴」がお気に入り。2015/07/07
日月
4
ケルトといっても、わりとキリスト教的なものも入ってきていて、やはりそこはキリスト教徒の書いた作品だからかもしれません。でも、表題の女王にまつわる話とかは土着的な残酷さがあり、読みごたえがありました。あとがきは翻訳者の松村みね子さんの話ばかりで、原作者やケルトの紹介はあまりなく、なんなんだこれ、と思いました。2023/03/29
コマイヌ
2
民俗と神話伝説が好きな人だったら確実に気に入るから取り合えず読んでほしい。翻訳も上手な(そして旧かなが雰囲気にあう)のだろうけど有りがちな嫌味が無い、それ以上の表現は私には出来ない。スコティッシュケルトらしい。異教・ペイガン、それとキリスト教が奇妙に融合した姿もある、が読めば分かる。シルキーの話(海豹)が一番好き2016/06/02