内容説明
一部のトリックやアイデアを「寿命帳」ほかの諸篇に使っただけでなく、その骨格とも言うべき重要な部分を『黒死館殺人事件』の中に流用した作品。寝台や地下坑道、室内楽団、ゴシック建築様式…。実に『紅殻』こそは『黒死館』の先駆的作品であって、作品の成立的意義もここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鏡子
19
聖人殉職者の遺品として価格高騰した「シドッチの石」を巡り、殺人が繰り広げられる・・・印象に残ったのは血を吸う寝台。この寝台にて同衾すればあの世行きだ。怨み深さうに食ひ縛つたメデユサの唇が開き毒薬が溢れ出す・・・ラストの呆気なさには唖然となった 小栗虫太郎。自分には難しかった・・・2016/03/15
ホームズ
7
初めて読みました(笑)面白かったですが復刻版ってことで感じが読みにくい(笑)それはそれで味がありましたが(笑)隠された宝と宝をねらう「紅殻駱駝」、探偵役の尾形、小岩井警部。推理小説というより冒険活劇のような展開で楽しめました(笑)2011/10/02
Auristela
0
処女作「完全犯罪」に先立ってこんな完璧な小栗ワールドが出来上がっていたなんて、、間違いなく黒死館を越え、魔境ものを凌駕し万人に愛されるべき物語。というのも氏のフレッシュな感性が滲み出ているからか、ホームズ対イエスの劇中劇においてはあまりの奇抜さに空いた口が塞がらなかった、、2013/05/16