内容説明
人の痛みや気持ちなんか、全然わからない。わかりたくもない。そう平然と言い放っていた非行少年たちが自分の犯した罪を自覚し、猛省し、変わっていく…。教育者や親の視察・講演依頼が全国から殺到する宇治少年院。その指導の実態と関係者の思いが今、初めて明らかにされる。
目次
第1章 宇治少年院の日々
第2章 僕は少年院に入った
第3章 なぜ宇治方式は可能になったのか―キーマンたちとその情熱
第4章 宇治方式の確立
第5章 宇治方式トレーニングと教育効果
第6章 宇治方式の広がりと海外事情
著者等紹介
品川裕香[シナガワユカ]
ノンフィクションライター。1964年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、出版社に三年間勤務した後に独立。教育・医療・社会問題等を異文化理解・予防的観点から取材執筆。国際ディスレクシア協会会員、発達性ディスレクシア研究会会員、日本子どもの虐待防止研究会会員
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感想・レビュー
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扉のこちら側
95
2018年465冊め。仕事用資料だが兼趣味の本でもあるため登録。2005年刊で多少の古さはあるが、私が常々感じていることをうまくまとめてくれており膝を打つ表現もあった。一般の人が多大な勘違いをしていることに「犯罪や非行を犯す少年達には発達障害が多い」というものがある。これは正しくは「メタ認知能力が弱い傾向にある」というものを一部マスコミが「発達障害」という言葉を使ってしまったため起きた間違いなのだが、メタ認知能力の弱さは発達障害を持つ人だけの特徴ではないのである。(続)2018/08/08
かおりんご
31
犯罪加害者の話というより、教育書かな?発達障害は犯罪とは直結しないけれど、犯罪を引き起こす要因にはなりうると・・・。でも、要因になる前に、子供の存在を認めてあげたり、苦手なことができるようにサポートしてあげたりすることが、私が今できることかなと思いました。この子はADHDだと分類するだけではなくて、それぞれの子にあった指導をしていかなければ意味がないんです。が、忙しさにかまけて、きめ細かいサポートができていないのも現実。まだまだ教師道は険しいです。2013/12/23
シュシュ
21
とても興味深く読んだ。LD、ADHD等の検査による線引きでなく、それに近い子は多い。各々の個性に合わせた指導、支援について、改めてもっと真剣に考えたいと思う。モデルにしたいような大人との出会いが子どもの目を輝かせるということも忘れないでおきたい。2014/06/23
Shinchan
16
少年院に入っている子供たちの多くがLDやADHDなどに似た症状を抱えているということを知り驚いた。ここで語られていることは、現在日本の社会が抱えている状況(いじめの問題や犯罪率の増加等々)を克服するうえで必要な実践教育について書かれていると思う。 また、少年院の子供たちは、DV、いじめやバカにされたり等々で自尊心を持てない子供たちが多いという。自尊心を持つと「自ら勉強するようになる」、また自尊心を育むことができると、他人を思いやる優しさも芽生えてくる。2012/01/27
anchic
9
向井元首席の処遇方針が垣間見える本でした。逮捕後のマスコミでは批判されていますが、本来少年院に来るような少年は扱いづらいのが当たり前なので少年の主張ばかり信じてしまうとこのようなことになってしまうのです。テレビで生意気な主張をしているコメンテーター共は現場では1週間ともたないでしょうからね。2012/03/16