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内容説明
新婚間もなく僻村で開業医の第一歩を踏みだす中江登。貧しさと無知からくる自己保全と迷信がはびこる村で、人々の冷たい目を気にもせず、病人の治療に一途に手をつくす。だが、そうやって1年間、身を粉にして働いた報いは、薬代の支払いに空っぽになったタンスだけであった―。永井隆が両親をモデルに、ときにユーモアを交えて描く、一人の村医と妻の求道者にも似た生きざま。
著者等紹介
永井隆[ナガイタカシ]
1908年2月3日、松江市の田野病院で生まれた。幼年時代を父の開業していた島根県飯石郡飯石村でおくり、小学校をそこで終え、県立松江中学に入学、1925年同校を卒業。ついで松江高等学校に入り理科を専攻、1928年同校を卒業して長崎医大に学ぶ。1932年に前後十八年間の学校生活を終えて新医学士として世に出たが、引きつづき長崎医大物理療法科に助手として籍をおき研究を続けた。1933年短期軍医として満州事変に従軍したが、この間慰問袋に入っていたカトリック要理を読んだ。翌1934年に帰還して浦上天主堂でカトリックの洗礼を受け、8月に結婚した。1937年同医大講師、1940年4月助教授、1944年4月医学博士の学位をとり、1946年1月教授となった。同年7月長崎駅頭で倒れ、以来病床につく。1949年12月長崎市名誉市民の称号をおくられた。1951年5月1日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トラッキー
1
医者の仕事は難しい。人の不幸から金を儲けるのかと言われることは、健康保険制度の確率した今日はないのだろうが、大病を派手にやっつける医者がもてはやされ、小病を未然に防ぐ名医が軽んじられるのは今日も同じだろう。すべての職業は平等というが、医者と政治家は別だと思う。しっかりした思想のある者がやらねばならんし、金儲けを目的にやってもならん。だから自分には出来ないと思った。2024/08/12
Gen Adachi
0
何気なく読んだけれど、すごく共感できる内容だった。僕もやっぱり田舎でもいいし、肩書なんか関係ない必要とされる場所で、医者ができたらどんなに良いかと思った。 「村からの病人の影が消えて、村医が失業し、官有地に掘っ立て小屋をたててもらって、物ごいをする日が来れば、大願成就ではないか?」
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