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内容説明
本来の姿を失ってしまった絵画作品たち。その再生を目指して、残された写真や模写を、様々な資料とともに読み解き分析していく。図像を受け継ぐ、その方法や挑戦、限界を、復元現場の先頭にたつ開拓者が語るイメージの探検。
目次
第1部 葛飾北斎“須佐之男命厄神退治之図”(“須佐之男命厄神退治之図”;牛嶋神社と北斎;奉納、そして焼失 ほか)
第2部 “大坂冬の陣図屏風”(三つの“大坂冬の陣図屏風”;東博模本;課題整理 ほか)
第3部 クロード・モネ“睡蓮、柳の反映”(失われたモネを求めて;“睡蓮、柳の反映”の足跡;写真原板の発見 ほか)
おわりに カシコノ影ヲ、ココニ見ス
著者等紹介
木下悠[キノシタユウ]
TOPPAN株式会社文化事業推進本部。九州芸術工科大学芸術工学部画像設計学科卒業。日本大学芸術学部写真学科卒業。葛飾北斎“須佐之男命厄神退治之図”推定復元(2016年、すみだ北斎美術館蔵)や、“大坂冬の陣図屏風”デジタル想定復元(2019年、TOPPAN株式会社蔵)、クロード・モネ“睡蓮、柳の反映”デジタル推定復元(2019年)など復元プロジェクトを設計・指揮するほか、デジタル技術を用いた文化財の活用に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
氷菓子
2
これまでに著者が手がけた3つの絵画の再生について、その過程の詳細な記録。白黒写真が残っていても、撮影機材の種類、光源などを当時の時世も考慮に入れて推測し、それらから一番可能性の高い色を再現する。失われていない部分や、同じ画家の他の作品を白黒写真に撮った場合の色の出方をAIに学ばせて損失部分を予測するなど最新技術も駆使されている。チューブ絵の具のない時代は絵の具の粒子の大きさによっても見え方が違うなど、面でだけ考えるものでなく紙面の薄い範囲とはいえ立体的な思考も必要で奥が深い。2024/12/26
takao
2
ふむ2024/07/30
乃丞
1
★★★★☆2025/01/26
kokekko
1
とてもいい本に出会えた。失われた、あるいは損なわれた絵画作品を再生させることを仕事とする復元プロジェクトの担い手の本。複製芸術論的な参考文献が充実しているので、それ系のレポートを書こうとしている学生さんにも役立ちそうだし、何より探偵小説のように一つ一つヒントを見つけては再生に近づいてゆくルポ部分が楽しい。絵の具の作り方を歴史的文献から拾い、二枚の写真を重ね合わせて共通するニュアンスを見出し、ある時にはAIの力も借りる(しかしこれは万能ツールではなく試行回数を補うためのものとして使っているようだ)。痛快。2024/07/31