内容説明
わが国にある中国美術の中でも憧憬であり続けた南宋時代、近年に入り急速に研究が進む大理・金。本書収録19篇の論考を通じて、仏教文物を生み出す時代の総体的な枠組みが新たな視点で描き出される。
目次
総論 南宋・大理・金における仏教美術
1 南宋王朝の仏教美術―場の視点から(都杭州の仏教;寧波―交流の中心;四川―仏教美術の伝統)
2 作品の主題と用途―復元的な視点から(エビは柄杓から飛び出せない―南宋末期から元代初期の禅の賞賛文(賛)における引喩とモジュール言語
牧谿筆“観音猿鶴図”論
祖師像と宋代仏教儀礼―礼賛文儀礼を視座として
南宋時代における袈裟へのまなざし
無準師範と弟子たちの文物ネットワーク―墨蹟・頂相・拓本の流通)
3 南宋を取り巻く国々―相対的な視点から(釈迦生身を奉ぜる女真の王朝―仏教国としての金;遼塔・金塔における第一層塔身の浮彫荘厳について;繁巌山寺の壁画について;雲南省・大理の密教美術;雲南・大理の梵語『仏頂尊勝陀羅尼』碑文;「画梵像」における釈迦仏会、羅漢および祖師像の研究)
著者等紹介
板倉聖哲[イタクラマサアキ]
1965年生。東京大学東洋文化研究所教授。東京大学大学院人文科学研究科美術史学専攻博士後期課程中退。大和文華館学芸部部員、東京大学東洋文化研究所助教授を経て、同教授。研究領域は中国を中心とした東アジア絵画史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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