内容説明
抽象絵画の創始者にしてデ・ステイルの理論的旗手、ピート・モンドリアンによる芸術論集。垂直線と水平線、アシンメトリー、三原色の造形―単純化された構成要素で均衡関係を純粋に表現し、普遍的なものへ一体化しようとする彼の「抽象的なリアリティ」は、20世紀の造形理論に深い影響を与えた。本書では絵画論から、文学、音楽、演劇、建築の諸芸術に向けて展開された芸術論を収録。
著者等紹介
モンドリアン,ピート[モンドリアン,ピート] [Mondrian,Piet]
1872‐1944。オランダ・アメルスフォールト生まれの画家。1892年よりアムステルダム国立美術アカデミーで美術教育を受ける。1911年、フランスのキュービスム展に触発されパリに滞在(‐1914年)。オランダに帰省した後、1915年にT.v.ドゥースブルフに出会う。この頃より垂直・水平線、原色の平塗りや矩形による抽象的なコンポジションの制作を始める。1917年、ドゥースブルフらとともに『デ・ステイル』誌を創刊、自身の抽象絵画についての理論的な文章を連載する。1919年よりパリへ戻り、画商レオンス・ローザンベールの勧めで、雑誌連載を下敷きとした小冊子を発表。1931年「抽象=創造」グループに参加。ナチス台頭を避け、1938年にロンドンへ、1940年にニューヨークへ移る。1944年、同地にて死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
機械の時代を謳歌する20世紀初頭の未来派の台頭の中、カンディンスキーは幾何学から、マレーヴィチは写真と映画との差異から、著者はキュビズムを通って時代性の根幹にある普遍性を求める神智学から抽象画の開拓者に加わる。が、著者は絵画や美術の刷新のみを意図したのではない。本書に並ぶ5つのエッセイは、芸術全般の核としての「新造形主義」を探究する。神智学が示唆する究極のリアリティを求めて、著者は幾何学的「等価的造形」という姿勢から、その核を黒の上下左右線と赤、青、黄の3色に切り詰めた「コンポジション」に抽象化していく。2025/04/07