内容説明
15世紀初頭から16世紀半ばにかけてのルネサンス期、イタリア美術界で絵画を中心に美術と学問、絵画と彫刻、美術と文学との優劣比較をめぐり熾烈を極めた論争、「パラゴーネ」(諸学芸位階論争)。それは、空虚な観念論ではなく、美術家たちがしのぎを削った革新的な創作活動を通じて、美術各分野の存在根拠を問う、実存的な探求であった。美術家の社会的地位向上と「美術」という概念の形成を導いた西洋美術史の結節点となるパラゴーネ論争調停の要、ベネデット・ヴァルキ(1503‐1565)の論著、初の完訳。
目次
序論
ベネデット・ヴァルキのふたつの講演
第二の講演
美術家の返書
解題 美術と学芸の相克
小論 ミケランジェロ葬儀におけるヴァルキの追悼演説―アカデミア・デル・ディセーニョによる美術家の弔いとパラゴーネ
著者等紹介
ベッチュマン,オスカー[ベッチュマン,オスカー] [B¨atschmann,Oskar]
1943年生。1975年にチューリヒ大学で博士号、1981年に同大学にて教授資格を取得。ベルン大学名誉教授。2009年よりスイス芸術学研究所教授
ヴェディゲン,トリスタン[ヴェディゲン,トリスタン] [Weddigen,Tristan]
1969年生。2002年にベルリン工科大学で博士号、2008年にベルン大学にて教授資格を取得。2009年よりチューリヒ大学近世美術史教授、2017年よりローマ、ヘルツィアーナ図書館館長職を兼任
清瀬みさを[キヨセミサオ]
1988年同志社大学大学院文学研究科哲学および哲学史専攻博士課程後期満期退学。現在同志社大学文学部美学芸術学科教授
小松原郁[コマツバラアヤ]
2017年同志社大学大学院文学研究科博士課程後期修了。現在同志社大学文学部嘱託講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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