出版社内容情報
18世紀、ドイツの美術考古学者、ヴィンケルマンはそれまで骨董的扱いだったギリシア美術を、その美術創造の根本的諸条件に立戻り考察し、これまでの美術史の歴史に代わって、新しい観点からの様式史を確立した。
内容説明
一、美術の誕生、生長、変化、衰亡の命ある流れを古代の文献と美術遺品で歴史的に証明すること。二、ギリシア美術の卓越性を体系的に論拠付けること、三、美術とは何か、その本質的な意味をローマに残るギリシアの彫像に則して解き明かすこと。この三点を考究する研究書。
目次
第1部 美術の本質に則しての美術の考察(美術のはじまりと諸民族の間での違いについて;エジプト人、フェニキア人、ペルシア人の美術;エトルリア人及びその近隣諸民族の美術;ギリシア人の美術;ローマ人の美術)
第2部 各時代の歴史的状況に則してのギリシア美術の考察(フィディアス以前の美術;フィディアスからアレクサンデル大王までの美術;アレクサンデル大王以後の美術の衰退;ローマ人の間でのギリシア美術;セヴェルス期とその後に於ける美術の衰退)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AsK
2
1765年出版された初の美術史の本。全二部構成。ヴィンケルマンの指す美とはそのまま人体の美であり、それを最も優れて表したものが彫刻であり、ギリシア彫刻なのである。彼曰く、美しいギリシア彫刻は、温暖な風土で磨かれた美貌が競技に汗を流して程よい筋肉をつけたギリシア人を写しとるだけの文化と技術の賜物だと、説く。これは「ギリシア芸術模倣論」から発展したもので、絵画の記述は以前より増したが、建築の記述は一ヶ所を覗き、全くといっていいほどない。これはヴィンケルマンも自覚しており、本文内で認めている。2012/01/27
Yosuke Saito
2
美術史研究でおこなわれる観察に基づく作品記述は彼から始まった。ヴィンケルマンについて解説された本は数多いが、それら二次資料だけでなくきちんと原典も当たるようにしたいところ。2011/11/30
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