出版社内容情報
世界的視野に立ち、日本美術と西洋美術の相互の連関性を解明する、内外22名の研究による論考の集成。
内容説明
国際美術史学会東京会議は、「美術史における日本と西洋」をテーマとして、東京上野公園内の奏楽堂(旧東京音楽学校奏楽堂)と東京国立博物館講堂を会場に、1991年9月18日から20日まで開催された。「直接交流と影響」「芸術の時間=空間表現」「概念と方法」という三つのセクションのなかで、具体的、個別的な問題を検討し、同時に世界的な視野から相互に関連する要素を解明することを目標に企画実行された。発表者として、日本からは9人の研究者が、国外からイギリス、フランス、ドイツ、ポルトガル、スペイン、アメリカの6ヶ国から合わせて11人の研究者が参加し、発表に続いて活発な討議が行われた。本書は会議におけるこれら20編の口頭発表とともに基調講演ならびに総括の辞を、発表者自身による加筆訂正を加えて収載したもの。
目次
東と西の出合い―日本および西洋の絵画における表現様式についての諸問題
南方から到着したポルトガル人―ポルトガルの美術館所蔵の“南蛮屏風”
18世紀ヨーロッパの建築及び室内装飾における東アジア風の諸相
司馬江漢の一連の樹下洋人図をめぐって
コンポジションから「構想画」へ―黒田清輝による農耕主題の作品を中心に
ブレイクと日本―京都画壇に対するその影響
テンションとエネルギー―20世紀中葉における芸術家の新しいステイタスあるいは美術批評の新しい概念について
西洋美術の中の時間、分節、連続と構図
絵巻における説話表現
線は語る―版画の連作における「物語は絵のごとく」〔ほか〕