目次
序篇 京都御所の現状
第1篇 近世以前の内裏(平安時代初期の内裏;鎌倉時代における内裏;南北朝時代の内裏;室町時代の内裏)
第2篇 近世における内裏の変遷(永禄度の内裏御修理;天正度御造営の内裏;慶長度御造営の内裏;寛永度御造営の内裏;承応度御造営の内裏;寛文度御造営の内裏;延宝度御造営の内裏;宝永度御造営の内裏;寛政度御造営の内裏;安政度御造営の内裏)
第3篇 近世における内裏各殿舎の変遷(紫宸殿;清涼殿;殿上間公卿諸大夫間;小御所;御学問所 ほか)
第4篇 近世における内裏の遺構(仁和寺金堂・御影堂;大覚寺宸殿;妙法寺大書院・玄関;門の遺構;後水尾天皇の庭園建築遺構;一絲和尚関係の諸寺;内侍所仮殿の遺構)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chang_ume
10
現在の京都御所に至る経緯を建築史から検討。画期となる寛政度内裏については、宮内庁所蔵史料の分析をもとに「復古」とされる再建事業が、紫宸殿の錣葺き屋根などに関して大胆な創意がなされていた事情を明らかにした。建築遺構と史料を総合すると、寛政度内裏そして現京都御所への定説的な「復古」評価が、実は伝統の再発明とすらいえる近世中後期の朝廷復興に関するものだったことがよくわかった。一方で、こうしたある意味で逸脱ともいえる寛政度内裏の事業に対して、裏松固禅はどのような心境を抱いたのか、興味が湧くところでもあります。2021/09/13