内容説明
1970年代のわが国では水域の富栄養化が進行し、海や湖沼で赤潮が発生して問題となったが、その後の水質改善の努力が功を奏し、水質は良好になってきた。しかしその一方で、栄養塩不足、つまり「貧栄養化」が原因と思われる海苔の色落ちや漁獲量の低下が報告されている。これが「貧栄養化問題」である。本書は、瀬戸内海、諏訪湖、琵琶湖といったすでに問題が指摘された水域における、これまでの水質浄化の取り組み、長年にわたって蓄積された水質データ、生態系の変化などから、「貧栄養化問題」の背後にあるプロセスとメカニズムを浮き彫りにする。
目次
第1章 諏訪湖の「富栄養化問題」と「貧栄養化問題」
第2章 琵琶湖の水質変化と漁獲量の変動
第3章 瀬戸内海の貧栄養化―その原因、プロセス、メカニズム
第4章 瀬戸内海東部の貧栄養化と漁業生産
第5章 瀬戸内海におけるアマモ場の変化―生態系構造のヒステリシス
第6章 北海沿岸における貧栄養化と水産資源変動
第7章 栄養環境の変遷と水産覚え書き
著者等紹介
山本民次[ヤマモトタミジ]
広島大学大学院生物圏科学研究科
花里孝幸[ハナザトタカユキ]
信州大学山岳科学研究所(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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