内容説明
首都圏で問題となっている里山開発において、特に墓地造成のために貴重な自然が失われる例が目立つ。一方で地方では、里山は放置され荒廃が進む。この由々しき事態に居ても立ってもいられなくなり、「樹木葬」の取り組みを始めた。これは、墓石代わりに木を植え、その周りに納骨するだけの記念樹型集合墓ではない。荒れた里山に墓地としての許可を取り、手を入れ、整備する。墓標として植えるのは、その地域、環境にふさわしい花木だ。樹木葬墓地は、地域の自然を後世に残していくための墓地という新しい葬送の形の提案であるとともに、里山の生物多様性の保全・再生の手法として大きな可能性を見出した。
目次
はじめに―満十年を経た知勝院樹木葬墓地と久保川イーハトーブ世界
第1章 本当の「樹木葬」とは何か
第2章 久保川イーハトーブ世界の姿と知勝院
第3章 寺の和尚が自然再生活動を行うわけ
第4章 気づきと人の縁で深まる自然再生の取り組み
第5章 久保川イーハトーブ世界の生物多様性と迫り来る危機
特別寄稿 久保川イーハトーブ世界の生物多様性の保全・再生(鷲谷いづみ)
第6章 久保川イーハトーブ自然再生事業と地域づくりのこれから
あとがき―わたしの夢
著者等紹介
千坂〓峰[チサカゲンポウ]
1945年、宮城県生まれ。東北大学文学部卒業、東北大学大学院文学研究科博士課程中退後、聖和学園短期大学(仙台市)教授を経て、2008年、同短期大学特任教授を退任。1984年より岩手県一関市祥雲寺(臨済宗妙心寺派)住職。2006年、樹木葬墓地(1999年開創)を管理する知勝院が宗教法人として認証され、知勝院住職を兼務して現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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