内容説明
不安定なグローバル・ガバナンス、サプライチェーン・リスク、選挙介入とフェイク・ニュース…。日本が直面しようとしている新たな「グレートゲーム」の実相に迫る。
目次
1 サイバーセキュリティにおける予期と特定
2 統合される作戦領域
3 選挙介入とフェイク・ニュース
4 サプライチェーン・リスク
5 サイバーインテリジェンス
6 サイバー外交
7 サイバー防衛
8 狙われる日本
著者等紹介
土屋大洋[ツチヤモトヒロ]
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科兼総合政策学部教授、博士(政策・メディア)。1970年生まれ。1994年慶應義塾大学法学部卒業。1996年同大学大学院法学研究科政治学専攻修士課程修了。1999年同大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主任研究員などを経て、2011年から現職。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)副所長、GLOCOM上級客員研究員、国際社会経済研究所客員研究員を兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田氏
18
読んでいるときちょうど、電磁波や衛星を用いた攻撃手段についての発言をとりあげた記事が目についた。案の定、馬鹿にしたようなコメントが押し寄せているようだが、本書で論じられているような前提や文脈をふまえてそれらの批判を見ると、どうあっても正鵠を射ることはないように思う。いかにサイバーセキュリティの問題は複雑化し、国際社会ならびに日本にどの、何の必要性が生じているか。本書で語られるのはそのわずかな部分にすぎないが、それだけでも事が簡単でないと知るには十分足りる。ひとつひとつ、結論を保留できるものを増やしていく。2021/09/11
T
2
ロシアとウクライナのことを全然知らなくて、一体何が起こっているのだ?と思っていたときに、この積読本が目に入った。自分でも買った目的がわからなくなっていた本。全然関係ないかも、難しくて理解できないかも、などと思いつつ読み始めると、関係あるし!わかりやすいし! 装丁の感じがとっつきづらそうなのだけど中身は全然そんなことなく、不慣れな専門用語に置いてきぼりにされることもなく、予備知識も不要。読了後は参考文献や関連書籍も読みたくなる。2022/03/07
ゼロ投資大学
2
インターネットとテクノロジーが発達し、社会のあらゆる場所にサイバーの影響が及ぶようになった。軍事面では、陸海空宇宙軍にサイバースペースと電磁波が新たな領域として戦略に組み込まれることになった。これらを複数あるいは多角的に組み合わせることで、戦略上の選択肢を増やすことも可能だ。一方で政治面では、2016年のロシアによる米大統領選への介入が特筆すべき事例として挙げられる。サイバー空間から対象国の選挙への介入、フェイクニュースの拡散などで影響力を及ぼすことが可能になっている。2021/10/30
Go Extreme
1
人類とウィルスの第二次世界戦争 サイバー攻撃は地政学的リスクを反映する サイバーセキュリティにおける予期と特定: 第五の作戦領域 サイバースペースのグローバル・ガバナンス 統合される作戦領域: クロスドメイン攻撃 ハイブリッド戦争の到来 選挙介入とフェイク・ニュース: 虚実入り混じる暴露の時代 プーチンが語る「デジタル・フリーダム」 サプライチェーン・リスク: 中国の地政学的台頭 サイバーインテリジェンス: 機密情報の扱いに信用を ファイブ・アイズ サイバー外交 サイバー防衛: 抑止理論はまだ見つからない2021/12/30
Masayuki Shimura
1
【サイバースペースの問題は、現実の地理と政治の影響を受けるようになっている。どこかに浮かぶバーチャルな存在をイメージするとサイバーセキュリティの本質を見失うことになりかねない】(文中より引用)・・・・・サイバーと国際政治の関係性の変遷を描いており、マクロな視点からサイバーセキュリティなどについて学ぶことができます。テクノロジー系のニュースを目にする際に参考となる補助線を引いてくれるような一冊かと。2021/03/04