内容説明
戦域化を続ける宇宙空間。軍事利用とガバナンスのはざまで日本の果たすべき役割とは何か。
目次
序章
第1部 安全保障のための宇宙―軍事利用の潮流(スペース・パワー論―宇宙には如何なる軍事的価値があるのか;聖域学派の時代―第1の波 戦略レベル中心の宇宙利用;情報学派の時代―第2の波 作戦・戦術レベルでの宇宙利用の本格化;抗たん性・コントロール学派の時代―第3の波 宇宙利用をめぐる戦いの活発化)
第2部 宇宙のための安全保障―模索されるガバナンスのあり方(圧倒的なパワーによる秩序―米国主導の安全保障分野における宇宙協力;国際制度による秩序―軍事宇宙利用をめぐるルール形成;多様な主体と方法による秩序―SSAをめぐる協働と間接アプローチとしてのSTM)
終章
著者等紹介
福島康仁[フクシマヤスヒト]
防衛省防衛研究所主任研究官。博士(政策・メディア)。2007年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2012年同大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。2019年より現職。専門は宇宙政策。主な論文に「宇宙利用の拡大と米国の安全保障―宇宙コントロールをめぐる議論と政策」『戦略研究』第9号(2011年3月、戦略研究学会研究奨励賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蟹
2
この分野でしっかりとした学術的な本が出たことがまず喜ばしい。内容もこれまでの歴史とこれからの展望をしっかり捉えていて、今後宇宙と安全保障について語る際の必読書になるといっていいと思う。宇宙に人間が飛び出してから既に半世紀以上が経つが、これだけの期間になぜ宇宙における軍事・安全保障は漸進的にしか発展しなかったのか、「学派」という説明はとても説得的に感じられた。これを規範と捉えれば、これからの基盤作りに希望が生まれる。宇宙を争いの場にしないために、という言葉は単なる綺麗事ではないと感じた。2020/11/15
中将(予備役)
1
宇宙の安全保障への利用の潮流と軍民で広がる宇宙利用をいかに維持するかというガヴァナンスを研究した専門書。宇宙利用が広がった今日、宇宙ゴミや無線干渉、意図的妨害などで「安定的な宇宙利用を維持することは容易でなくなっている」(5頁)という序章に挙げられた問題意識には納得させられた。ガヴァナンスの方法としての暗黙の了解は国際法国際政治の実情として興味深い。米露の暗黙の了解と関連する新STARTは2021年にギリギリで5年間延長され辛うじて残っているが今後どうなるか。2022/10/02
takao
1
ふむ2020/08/19
みを
0
表題の通り、「宇宙と安全保障」の来し方行く末を描く教科書的書物。ただし、単なる教科書ではなく、従来の古典的理論の更新を目論むなど新規性も▼前半は「安全保障のための宇宙」として、後半は「宇宙のための安全保障」として、ふたつの側面を切り分ける。そのどちらにしても、アメリカは重大な役割を担ってきたし、これからも担うだろうとのこと▼しかし、アメリカ単独でSSAを完結させることはもはや不可能。民間含む多様な主体が協同して宇宙のガバナンスの強化を図っていかなければならない。日本の果たしうる役割は大きいようだ。
babochan0517
0
この分野にして唯一の体系的な専門書。繰り返し読みたい。2023/01/07