内容説明
ちょうど100年前、日本は第1次世界大戦の「戦後」を迎えていた。戦勝国となった日本は中国大陸や西太平洋に新たな勢力圏を得て帝国主義国家としての性格を強め、やがて第1次大戦の「戦後」を第2次大戦の「戦前」へと変質させていく。ポピュリズム、隣国との軋轢、憲法改正問題、未だ長い「戦後」にいるつもりの日本は、いまや再び「戦前」に立っているのではないか…。かつて日本が経験したもうひとつの「戦後」を振り返る。
目次
もうひとつの「戦後」と日本
第1部 戦後処理の諸相―アジア・太平洋地域の変動(「ドイツの退場」以後のアジア・太平洋―帝国主義と軍事バランスの変容;ローランド・モリス駐日米国大使と日米関係;ソ連との「戦後処理」―日ソ国交樹立の再検討(一九二四~二五年))
第2部 国際社会の緊密化―国際機構・軍縮・国際法・経済(日本外務省と国際連盟軍縮、安全保障問題―国際協調の限界とアジア・モンロー主義的政策の形成過程;国際法の法典化と戦間期日本―国家責任問題における文明国標準を中心に;アジア基軸通貨への夢と現実―第一次世界大戦・シベリア出兵時の対外通貨政策;日中経済提携の理想―第一次世界大戦後の日本の対中国政策再考)
第3部 総力戦・デモクラシー・帝国(失われた教訓―第一次世界大戦が日本陸軍の用兵思想に及ぼした影響;立憲君主制の理想像と大衆民主政治の到来;ふたつの「戦後」―英帝国と日本)