出版社内容情報
西洋の衝撃という未曾有の危機に近代日本は如何に立ち向かったのか。待望の復刊
内容説明
西洋の衝撃という未曾有の危機に近代日本は如何に立ち向かったか。日本の精神構造の変遷を描いた名著復刊。
目次
第1部 西洋文明の衝撃(幕末・明治初期における対外意識の諸類型;近代化への分岐―李朝朝鮮と徳川日本;幕末における政治的対立の特質)
第2部 危機のリーダーシップ(川路聖謨;大久保利通;岩倉具視)
第3部 近代化日本の国際関係(協調と自立の間;日米関係・その三〇年代と七〇年代)
丸山眞男論
著者等紹介
佐藤誠三郎[サトウセイザブロウ]
政治学者。東京大学名誉教授。専門は日本政治外交史。1931年東京生まれ。1957年東京大学文学部国史学科卒業。1960年東京大学法学部政治学科卒業。立教大学法学部助教授、東京大学教養学部助教授などを経て、1977年より同教授。1992年慶應義塾大学総合政策学部教授に転じ、埼玉大学大学院政策科学研究科教授、政策研究大学院大学副学長などを歴任。1999年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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spanasu
3
家康への没我的忠誠という武士道を信じた川路聖謨は、兵学的リアリズムで国際関係を理解し、伝統を変更するゆえ全国一心の一致が必要として諸侯への諮問と説得を唱え、伝統を作り出せるカリスマを求め一橋派となり、明治を迎えるにあたり明治天皇にカリスマを見出す。漸進主義者でありそのために「異物」を許容した大久保、調停者ゆえに多元性と求心性があるときのみ浮上する岩倉、といった三人のリーダーシップ論が面白かった。2020/04/15
ちゅん
3
黒船来航から日本は列強国の脅威に対していかに考えいかに対応したかを示した書。タイトルにもなっている「死の跳躍」は「失敗すれば脛骨を折らねばならない(日本という国家の破滅)」というベルツの言葉を引用したもの。取り分け、幕末の時、各藩は幕府に対してどのような思いがあったのか、川路聖謨、大久保利通、岩倉具視はどう考えたのかが詳しく記してあって興味深かったです。外交史が好きな方に適した一冊です。2017/07/30
バルジ
1
「実証的」史学とはまた一線を画した、広い視座と史料を駆使し西洋の衝撃に近代日本はどう受容したのかを考察する論集。新版には北岡伸一・御厨貴という日本政治史学の両巨頭による解説が附されいずれも師匠への尊敬に満ちた素晴らしい内容となっている。著者の人物論は川路聖謨、大久保利通・岩倉具視と考察の軸は変わず、描き方が異なっているのが面白い。川路の章では武士のエートスがいかに西洋近代の受容に果たしたかを解明する。一方大久保・岩倉は内憂外患の時代において必要な政治的リーダーシップの姿に焦点を当てる。2019/12/08
ポレポレ
0
濃厚だった。これで「細谷雄一〜北岡伸一〜佐藤誠三郎」という系統をそれぞれ一冊は読んだことになる。どこに書いてあったか探せないでいるのだが、誰かが外交について学ぶのに良い本を佐藤氏に聞いたらこの自著を推薦したらしい。本書を通して、特に川路さんの辺りを読んでいて強く感じたのは、外交政策に対して、時代時代の世界観が如何に可能性と限界の両方として強く、かつ同時に働くかということである。「ナルトのイタチで言うところの、見え方に、頼り、縛られ生きている」大久保利通の、緩急順序大小軽重が重要も響いた。丸山論も良き。2022/05/08