内容説明
初期禅宗以来、中国・日本で重要視された『四巻楞伽』。しかし多岐にわたる思想内容と曖昧な表現に加え、梵文の語順のままに漢語を配列した特殊な訳文が頻出するこの漢訳経典を、漢文脈のみから理解することは甚だ困難であった。本書は、梵語原典・チベット語訳・他の漢訳との厳密な比較対照を踏まえて、難解きわまりない経文の論旨を丹念に読み解いた、待望の訳註書である。
目次
楞伽阿跋多羅宝経(序分(通序;別序;偈問;百八問;偈答 ほか))
正宗分(説識異外分(識の特質と生住滅)
二七性心分(ものの本性とものの見方の心髄―七種の自性と七種の第一義)
邪正見異分(小乗・外教の因果論と大乗の唯心の理)
識転不壊分(アーラヤ識と七転識(1))
別説識真分(アーラヤ識と七転識(2) ほか))