内容説明
結社「潮音」の作品の中から、筆者が選んだ作品を、作者生年月に配列。
目次
この夕べ外山をわたる秋風に椎もくぬぎも音たてにけり(太田水穂)
秋茄子のつやをよろこぶ朝の膳箸とりそめし子もならぶなり(安田尚義)
ひぐらしの一つが鳴けば二つ鳴きやまみな声となりて明けゆく(四賀光子)
距離感の近き銀河をあふぎ居り身は北ぐにに住みふさふらし(小田観蛍)
水引のすいと眼に立つ裏口に繭は売られて人のものなり(山崎等)
ここにして心しづけし兜町立合端の木を打つ聞けば(鈴木北渓)
ゆきひらにたきつぐ粥は栗粥の妻がこのみの雪の日のかゆ(木島冷明)
老いぬれば愚かものなる一人にて取り入れ口の水をあらそふ(峯村国一)
遠夫のさやけき声は吹く風の青竹むらにこもるとおもふ(米倉久子)
ひさびさに髪ゆひにけりいづかたに吾はゆかまし春の日の照る(世良田優子)〔ほか〕
著者等紹介
伊東悦子[イトウエツコ]
1944年8月6日長野県伊那市美篶生。「潮音」「白夜」幹部同人。太田五郎に師事。「十月会」「十九年の会」会員。「悠」発行同人。現代歌人協会会員。埼玉県歌人会理事
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。